研究課題/領域番号 |
26381249
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
望月 一枝 日本女子大学, 家政学部, 研究員 (60431615)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ケア / シティズンシップ / 家庭科 / 実践的知識と技能 / 生活 / 対話 |
研究実績の概要 |
家庭科シティズンシップ教育の実践枠組みを理論的・実践的に明らかにした。具体的には、家庭科で育まれるシティズンシップは、ケア概念をシティズンシップ論に組み込むことによって、シティズンシップの知識と能力とは、遠いところにあるとあると思われた家庭科の実践的知識と技能を、シティズンシップの要素として新たに位置づけることができた。実践枠組みを構想する際、留意しなければならないことは、自分の意思を言葉にできない人が家庭や地域に存在することである。ケアという実践を家庭や地域のメンバーにつないでいくためには、ヴァルネラブル(傷つきやすい)人に応答すること、つまり、ニーズを読み取ること、「そこにいる人に分かる言葉で自分の考えを根拠をもって話す能力」の両方が育まれなければならない。家庭科では、対立するかにみえるどちらも育む必要があり、しかも、それらは深く関連している。家庭科のシティズンシップ教育において、教師は、子どもの個人的(personal)で私的(private)な生活を、公的な(public)授業空間に引き出し、それを社会的な(social)制度や生活と結びつける対話を構成していく必要がある。本成果は、「家庭科で育てるシティズンシップーその現代的意義と実践枠組み」として、『市民社会をひらく家庭科』ドメス出版、28-45頁、2015年、に刊行し批評を得た。 また、さらに、生活と対話について理論的な知見を得るために、サンパウロのパウロ・フレイレ研究所に訪問調査し、ロッジ・フレイレ研究所長、フェルナンド研究員へのインタビューを実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
家庭科で育むシティズンシップーその現代的意義と実践枠組みを著書に刊行できたから。 生活と対話に関する知見をブラジルの訪問調査によって得られたから。
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今後の研究の推進方策 |
授業実践を分析し、どのような授業デザインと教師の立ち位置が必要かを実証的に明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会、国内学会発表を予定しているため。
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次年度使用額の使用計画 |
韓国における国際学会、新潟での学会では、授業実践の分析をふまえた家庭科教師の指導と実践枠組みを発表し批評を得る。
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