国立大学教育学部に2013年に入学した338名の学生に対し2015年7月(3年生時)に研究の趣旨を書面で提示した上で調査に対する協力を求め,協力の意思を示し不備のない回答を行った286名(84.6%)を対象として分析を行った。調査内容は,教員志望の強さ,教員適性の自覚,自己管理スキル(高橋ら,2000),社会的スキル(菊地,1988),一般性自己効力感(坂野ら,1986)などであり,それらと2017年3月に調査した平成29年度教員採用試験(2017年採用)の結果などとの関連を分析した。 また,国立大学教育学部を卒業しA市で教員をしている同学部同窓会会員1198名に対して2016年9月から10月にかけて研究の趣旨を書面で提示した上で協力を求め,協力の意思を示し不備のない回答を行った790名(65.9%)を対象として分析を行った。調査内容は,前記のものに教員としてのやりがい(4段階自己評価)を加えたものである。 教員適性を自覚する学生ほど教員を志望し,自己管理スキル,社会的スキル,一般性自己効力感が高い学生ほど教員適性を自覚していた。また,教員適性を自覚し,教員志望が強い学生ほど実際に教員採用試験を受験していた。教員採用試験の一次試験の合否に関しては,ジェネリック・スキル等でその結果を予測する変数はなかったが,教職支援のために学部が設置した「教職サポートルーム」に関する知識を調査時(3年生7月)に持っていた学生ほど合格率が高かった。二次試験に関しては,社会的スキルが高い学生ほど合格していた。さらに,二次試験に関しても「教職サポートルーム」に関する知識を調査時に持っていた学生ほど合格率が高かった。 現職教員のやりがいに関しては,男性教師では一般性自己効力感と社会的スキルが,女性教師では一般性自己効力感と自己管理スキルが説明力を有していた。
|