研究課題/領域番号 |
26381258
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
釜田 聡 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (60345543)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 東アジア / 未来への選択 / 韓国併合100年 / 日韓関係 / ESD |
研究実績の概要 |
初年度の研究実績は次の2点である。 1 東アジアの未来を選択するためのカリキュラム開発の視点を導出した。 日本国際理解教育学会が設定した学習領域「未来への選択」を手掛かりに,2010年の韓国併合100年に関する日韓の新聞報道の論点を整理することで,東アジアの未来を選択するカリキュラム開発の論点を導出した。主要な論点として次の4つを抽出した。 (1)1910年の日韓併合の適法性について,(2)戦後補償問題について,(3)竹島(独島)の領有問題について,(4)靖国神社参拝をめぐる歴史認識全般の問題について 2 台湾,シンガポールへのフィールドワークを行い,資料収集に努めた。 東アジアの中で,日韓関係をとらえるため,シンガポールと台湾を訪問し,資料収集と教育研究交流を行った。その結果,東アジアの中における日韓関係,あるいは東アジアの未来について検討できる示唆を得ることができた。具体的には,台湾では植民地時代の日本人への眼差しと記憶の継承の問題について資料収集できた。シンガポールでは,海洋国家シンガポールの歴史と現在,未来への展望,アジアへの眼差しについて資料収集することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は,東アジア諸地域のうち,韓国と台湾,シンガポールの教育課程や教科書,資料集,児童生徒を取りまくメディア環境,社会・文化的環境などについて基礎的調査を行い,その資料収集と整理に努めた。また,台湾とシンガポールのフィールドワークを行い,主に歴史教育と国際理解教育に関する資料収集を行った。これらの研究成果は,初年度の研究計画の中核をなすものであり,おおむね期待通りの進捗状況であった。一方で,日韓と日中の政治外交面での困難に直面し,各種アンケート調査が予定どおり進まないことがあった。この点については,政治外交面が落ち着いたところで,実施可能な部分から進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は,初年次の研究成果と課題を総括し,東アジアの未来を選択する国際理解教育の要件について再検討する。次に,東アジアの未来についての児童生徒や大学生の認識をアンケート調査を実施することで把握する。続いて,その結果を集計・分析・考察し,今後の東アジアの未来を選択する新しい国際理解教育の内容と方法を整理する。並行して,ここまでの研究成果を視野に入れながら,東アジアの未来を考えるにふさわしい歴史的建造物や博物館,史跡等を選定・訪問し,カリキュラム・教材開発のための資料収集を行う。 最後に,2年次の研究成果を総括し,最終年度の研究計画を再検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由は次の2点である。1点目,秋に訪韓し研究打合せを行う予定であったが,突発的な学内の所用が生じたため,研究打合せをとりやめ,メール等での情報交換にとどめたため。2点目は,日韓の政治外交上の問題である。教育実践者1名の旅費を計上していたが,日韓の政治外交上の問題があり,教育現場の教育実践者の訪韓が難しくなったためである。以上,2点の理由(2人分の渡航費)から次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額分については,教育実践者の渡航費や韓国からの招へい費等に充当する予定である。これによって,2年次の研究計画が円滑に進み,当初予定どおりの研究成果が期待できる。
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