研究課題/領域番号 |
26381268
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
永守 基樹 和歌山大学, 教育学部, 教授 (40164470)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 美術教育 / 絵画 / モダニズム / 題材開発 / カリキュラム / 抽象絵画 / 造形遊び |
研究実績の概要 |
本研究は、モダニズム以降の時代における美術教育の基軸的ディシプリンをモダニズム絵画に探り、芸術創造に関わる教育の基本として絵画教育のビジョンを再考し、その理念・カリキュラムを探求するものである。そのために下の(a)(b)2つの目的を設定した。 (a)美術教育における基軸的なディシプリンとして、モダニズム絵画の諸方法を構造化する。 (b) 1970年代ミニマル絵画から1950年代抽象表現主義絵画を経て、1920年代抽象絵画へと遡行するカリキュラムを開発する。 平成26年度は、モダニズム絵画史からの美術教育ディシプリン抽出を中心に研究を進める計画であり、結果的にピエト・モンドリアンの作品を中心に20世紀初頭の抽象絵画に焦点を当てて、理論的探究と題材とカリキュラム開発、そして教育実践による試行を含めた研究を行った。 印象派革命以降、1920年代の抽象絵画の成立、1950年代の抽象表現主義、1970年代のミニマル絵画へと終結するモダニズム(フォーマリズム)絵画史の展開。この史的展開を、1980年代以降にミニマル絵画から絵画の可能性を探究したフランク・ステラの試みを参照して遡行する動きのなかに美術教育としてのディシプリンを形成することが、本研究の基礎となる理論的探求の作業である。本年度の研究においては、モンドリアン絵画の「線」をドローイングとして、「面」を生成される色面として美術教育の文脈からの再把握を行った。この作業によって、身体感覚を生かす「造形遊び」と、造形の諸要素を操作し絵画などの平面造形表現の間の「ミッシング・リンク」を超えた絵画教育のカリキュラム構想が可能になると思われる。美術科教育学会第37回上越大会において研究協力者とともに計4件の口頭発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた研究目的の主要部分を達成することができた。とりわけモンドリアン作品の題材化の重要性を今期研究活動のなかで明らかに出来、それについての小学校・中学校・高等学校での題材開発と授業実践を研究協力者とともに行えた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、題材群の開発・実践・検証を中心に活動を行う。 題材の開発は「和歌山大学美術教育研究会」(本項目末に研究協力者として中心メンバーを列記)での月1回の月例研究会での論議を通して行う予定である。同時に適宜、画家(専門的絵画教育の担当者・項目末参照)との討議を行い、知識供与を受ける。 ■具体的な研究課題としては以下が想定される。 ①【ミニマルな[図]としての絵画】 フランク・ステラ、エルスワース・ケリー①桑山忠明、②【[地]の絵画】 ジャクソン・ポロック、バーネット・ニューマン、③【[図]の構成】 フランク・ステラ、アレクサンダー・カルダー、ホアン・ミロ、④【[地と図]の脱構築】マーク・ロスコ、カシミール・マレーヴィッチ、モーリス・ルイス、ジョルジュ・スーラ、⑤【[地と図]構造へ】 アンリ・マチス、猪熊玄一郎、、⑥【[地と図]の成熟と高度化】 パブロ・ピカソ、ジョルジュ・ブラック、、⑦【[地]の分割による[図]の形成】ヨセフ・アルバース、ベン・ニコルソン、ピエト・モンドリアン ■研究計画 (1)上記①~⑦の内容分類を再検討し、題材のコンセプトをも再検討する。 (2)対象年齢・実施学校、実施時期を検討 (3)実践のための学習指導案を作成 (4)実施と記録 (5)検証―研究会での討議
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた専門的知識の供与の機会が一回減少したため。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の予定を平成27年度に実施するかたちで使用する。
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