現行の学習指導要領で新たに必修領域となった「Bエネルギー変換に関する技術」と「D情報に関する技術」における項目(3):「プログラムによる計測と制御」に対して、技術科教員のためのスキルアップ教育システムの開発に取り組んできた。その開発の過程において、緻密さへのこだわりや忍耐強さなどの育成を達成する一つの有効な教材として、マイクロメカニズムの製作が非常に役立つことがわかった。本研究では、現有の教育システムを発展させて、中学校の生徒や、生徒を指導する教師のための緻密さと忍耐強さを養うマイクロメカニズム教材の開発を行った。本研究の実績は大きくわけて次の3つである。 1.開発環境の整備:教材開発環境の整備として新たに、3DCAD、3D加工機などを導入した。3DCADは教育現場での利用実績の多いSolidWorksを導入した。また3D加工機は機構モデルの教材化のため、加工面の広い機種を導入した。 2.小型ロボットおよび機構モデルの開発:開発したマイクロメカニズム教材は小型ロボットおよび小型の機構モデルである。これらの開発教材は「Bエネルギー変換に関する技術」の教材として使用できる。さらに機構モデルについては、「プログラムによる計測と制御」の教材として利用できるよう無線通信による制御を導入した。 3.マイクロメカニズムの研修会の実施:山口大学教育学部には、附属中学校が2校あり、研究代表者および、その研究室に所属する学生および院生とが、開発したマイクロメカニズムを利用した教材を持って附属学校に出向き、附属学校とその近隣校の技術科を担当する教員に対してスキルアップのために研修会を実施した。教材説明用ノートPCにはスキルアップ教育システムの一部である3DCADを導入しているため、設計の講習や、機構モデルのシミュレーションを実施した。
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