研究課題/領域番号 |
26381270
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
伴 恒信 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (70173119)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 国際研究者交流 チェコ、ヨーロッパ、フィンランド / シティズンシップ教育 / 民主主義理念 / 道徳性育成 / PISA |
研究実績の概要 |
平成26年度-平成28年度本研究課題「民主主義理念と次世代市民の道徳性育成の歴史的展開と将来像に関する研究」の初年度に当たる今年度は、まず文献調査によって民主主義概念の歴史的展開を把握するとともに、現代では民主主義国家体制を標榜する旧社会主義国や中国のような新興国をも含めた民主主義概念の掌握に努めた。平成26年10月にチェコ共和国プラハで開催された第18回フォーラム2000国際会議では「民主主義とその不満」をテーマにロシアや中国の研究者を交えた論議がなされたが、ロシアの代表はウクライナへの武力侵攻を正当化し、中国の代表は香港の学生蜂起を非難するばかりで、全く議論が噛み合うことはなかった。チェコではまた、同国のシティズンシップ教育を担う市民教育センターの担当者と面談し、第二次世界大戦前後のズデーデン地方を巡るドイツ人とチェコ人双方が引き起こした民族虐待追放問題をシティズンシップ教育を通じて如何に次世代に伝え、相互の理解へと導こうとしているかについて聴取した。 ヨーロッパ・シティズンシップ教育国際会議は、1914年の第一次世界大戦の引き金となった事件発祥の地であるオーストリアのウィーンで開催され、「1914-2014 歴史の教訓と紛争解決」をテーマに話し合いが行われた。会議参加者には、シティズンシップ教育を通じた国際理解の推進こそが戦争の悲劇を繰り返さない「心の砦」になるとの思いが共有されていた。 2015年3月にはフィンランドを訪れ、PISAの国際学力調査でこれまで世界的にフィンランドの学校教育の評価が高かったものの、最近では学校に特化したフィンランド教育の限界に対する反省も生まれ、2015年度から社会との連携を強化した新たな教育改革が進行中であるとの情報も得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度をもって鳴門教育大学を退職し、平成27年度から現在の岡山商科大学に赴任して勤務するという研究者代表の個人の事情もあって、勤務先および自宅の移転引越に付随する種々の諸雑務に忙殺されることがあった。ことに文献の調査研究については、上記状況下での制約もあって十分な時間を確保することが困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度当初は岡山商科大学での業務活動と研究活動との間に若干の齟齬が出るものの、夏季休暇前ぐらいには解消されるものと考える。今後は、現地調査と文献資料調査研究とを共に車の両輪とした研究態勢を整えて行きたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
先述したように、平成26年度をもって鳴門教育大学を退職し、平成27年度から現在の岡山商科大学に赴任するという研究者個人の事情もあって、退職転居に関係する種々の諸雑務に忙殺され、研究活動に十分な時間と資源が取れなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に十分果たせなかった研究文献の追加購入および研究計画に従った海外での現地調査に使用予定。
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