研究課題/領域番号 |
26381277
|
研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
木根 主税 宮崎大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (20557293)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 数学教師の省察 / 数学教師志望学生 / 教育実習 |
研究実績の概要 |
本研究では、数学教師志望学生の専門的力量形成、特にこれからの教師像として期待される「学び続ける教師」にとって不可欠な省察に焦点を当て、彼らの省察が大きく変容する機会である教育実習に注目し、そこでの授業実践についての省察の実態やその変容過程、さらには変容の要因を明らかにすることを目的としている。 平成27年度では、前年度同様、教職大学院での教育実習における学部新卒学生の省察の実態などを明らかにするための事例研究を行ってきた。実習における事後検討会での発言を文字データとして収集し、その特徴を質的アプローチを用いて分析した。また、実習後、大学にて行った実習の振り返りにおける発言も文字データとして収集し、実習時の省察との違いを比較分析した。 事例数が少ないため、すぐに一般化することはできないものの、数学教師志望学生の省察の実態として、意図した数学授業と実施した数学授業の乖離、生徒の学習活動に対する授業者としてのファシリテーションの困難さへの強い意識があり、省察の変容として、授業者の教授活動から生徒の学習活動への焦点の移動、数学教師としての教材研究の浅さの自覚が明らかとなった。また、そうした変容の要因として、授業実践の経験や事後検討会における他者との協議が考えられた。 また、学部新卒学生による省察の質的向上にむけた方策を検討するために、長崎大学と上越教育大学のそれぞれで開催された教育フォーラムに参加し、教職大学院における教師教育の実践報告を聴講した。そこから、今後の教師教育のあり方についての知見を得ることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度は、3つの課題を設定したが、それらの達成度は以下のとおりであり、全体としてはやや遅れている状況である。 (1) 教職大学院での教育実習における学部新卒学生の省察の実態等の研究については、今年度は3名の学生を対象とした事例研究に取り組んできたが、収集したデータの分析が継続中である。 (2) 他の教員養成機関の取り組みに関する調査としては、長崎大学と上越教育大学が実施した教育フォーラムに参加し、教職大学院生の授業実践についての省察に関連する研究発表を聴講した。 (3) 学部新卒学生の省察の質的向上にむけた方策については、引き続き、今後の研究活動に即して検討する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
基本的には、計画に即して、以下のように研究を推進していく。 (1) 教職大学院での教育実習における学部新卒学生の省察の実態等の研究については、これまでに収集した学生の省察に関するデータを分析し、複数の事例を継続的に比較しながら、その実態に迫ることとし、その結果を全国数学教育学会や日本数学教育学会にて発表する。また、引き続き、学生の省察に関するデータの収集も行う。 (2) 他の教員養成機関での取り組みに関する調査については、前年度同様、特に教職大学院を中心に訪問し、関係者へのインタビュー調査等を実施する。 (3) 上記の取り組みを踏まえ、学部新卒学生の省察の質的向上にむけた方策について検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
調査対象学生の数が予定よりも少なくなり、文字入力作業のための人件費・謝金の使用額が少なくなった。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、データ分析に係る文字入力作業が増えることから、これまで使用できなかった人件費・謝金を使用する。
|