研究課題/領域番号 |
26381280
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
竹内 和雄 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (10639058)
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研究分担者 |
青山 郁子 静岡大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (60586808)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 携帯電話 / スマートフォン / サミット / ネットいじめ / スマホ依存 |
研究実績の概要 |
国内の動きは関西での取り組みがほぼ仕上がり、全国展開ができつつある。平成27年度は、大阪府、兵庫県、和歌山県、滋賀県、京都府で当事者である小、中、高校生がスマートフォンについて考える「スマホサミット」を実施した。総決算として、11月15日に大阪府大阪市阿倍野区民センターで、関西スマホサミットを実施した。近畿地方2府4件の子どもたちが集まって、スマートフォン等の問題について自分たち目線で話し合いができたことは成果である。平成28年度は石川県等でも同様の取り組みを進めていき、全国のモデルケースとしていきたい。総務省近畿総合通信局と調整しながら進めてきたが、今後全国的な課題になっていくので、総務省本体との取り組みに移行していく必要を感じている。 海外との共同研究。韓国の梨花女子大学で日本のネット問題について講演し、王教授等と情報交換を行ったが、日韓での課題が、酷似している面と全く異なる面があることがわかった。似ている面では日本のこれからの取り組みの方向性の参考になるので、今後も協働していきたい。The third Asian Conference on Society , Education & TechnologyでDr. Andrey Koptelov(Sam Houston State University)と情報交換したが、アメリカではアプリ等を使った啓発活動にすでに取り組みつつあることがわかったが、スマートフォンの問題が新しいため、十分な蓄積ができていないことも判明したので、今後の共同研究が期待される。 これまでの取り組みの間にスマートフォン問題の低年齢化が急激なスピードで進んでいる。当初、当事者として想定していたのが中高生であったが、実際に課題を持っているのは小学生に移行しつつある。このあたりについての修正が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マスコミは、連日、子どもとスマートフォンについて取り上げており、この問題の関心は日に日に高まっており、社会問題になりつつある。そのため、自治体や教育委員会等の関心が高く、取り組みの関与への要望が高まっている。そのため、研究は進めやすくなっている。 一方、スマートフォン所持の低年齢化が一気に進んでいるため、問題が変質しつつある。小学生のスマートフォン所持が増えたこともあるが、スマートフォン以外でのネットへのアクセスも増えている。音楽プレーヤーや携帯ゲーム機等からのアクセスだが、それ以外にも保護者のスマートフォンを借りたり、保護者の使い古しのスマートフォンからのアクセスも増えている。そういう事情があるので、被験者として、当初は中高生を想定していたが、現状を考えると小学生や場合によっては、幼稚園児や乳幼児まで広げなければならないと考えている。 本年が研究の最終年であるため、今年度については、当初の予定通り、中高生に力点を置いた研究に取り組むが、研究成果を小学生やそれ以下にも及ぶようにしていきたいと考えている。また、海外との共同研究も積極的に進めているが、文化の違いからスムーズな協働が進みにくい部分がわかってきた。特に韓国やオーストリアの青少年は、スマートフォンで初めて掌でネットができるようになったため、日本でのガラケー時代のような混乱が生じている。日本の「ケータイ文化」はそういう意味では成熟しつつあるので、単純な比較が難しいのがわかってきた。もちろん研究成果であるが、そのあたりを踏まえた研究に軌道修正が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
低年齢化への対応としては、小学生への実態調査に力を入れる必要があると考えている。しかし、課題になっているのは小学校4年生以下であり、アンケートだけでは対応しきれないので。インタビュー調査が必要である。地域差もかなりあり、一部の地域の結果がすべてだと判断できないので、広く、調べる必要がある。低年齢化に対応した実態把握を広く行った上で、対応策を検討する必要がある。その上で、この問題に対応できるアプリ等の開発に力を入れていきたい。急速な変化への対応が課題である。 海外との共同研究については、特にスマートフォン問題では、日本の取り組みが先行していることがわかってきたが、ネット依存や啓発については参考にできる部分も多いので、バランス良く取り入れていきたい。特に韓国での依存対策は歴史があるので、参考になる部分が多い。オーストラリアは、いじめ研究の一部分としてのネットいじめ研究が盛んで、そのあたりの研究成果が参考になる。 日本国内だけでも小学生のスマートフォン使用という未知の状況が始まっている。世界規模でみても、子どもたちが手元でインターネットができる状況は初めてである。この問題はまだ始まったばかりであるが、非常に重要な分野になっていくと考えられるので、今後の研究に意欲的に取り組んでいきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、平成27年度の予定していたオーストリア等との共同研究が平成28年度になったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に使用する。
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