研究課題/領域番号 |
26381282
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研究機関 | 宇都宮共和大学 |
研究代表者 |
遠藤 忠 宇都宮共和大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10104118)
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研究分担者 |
長田 勇 埼玉東萌短期大学, その他部局等, 教授 (60221157)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 生徒指導 / 友人関係 / アイデンティティ / 自律性 / 集団活動 / アンケート調査 / 比較教育 |
研究実績の概要 |
現代日本の子供は、友人関係に過敏な状況にある。この状況を生み増殖してきた環境の中心は学校の友人関係である。「いじめ」自殺が後を絶たない背景には友人関係の閉塞状況があり、学校は「『自分は自分だ』という精神性(自律性/アイデンティティ)の形成」を目標とした何らかの働きかけをしなければならない。 本研究は小中高の生徒指導システム(教科から特別活動、学級経営を含む、学校教育全体を通した生徒指導)に焦点を当て、①現代の子供の友人関係における特質を調査で明らかにする。②子供個々の差異性よりも生徒としての同型化に比重を置く「生徒指導の現状を実態調査によって明らかにする。③生徒指導(Guidance、訓育)の変遷を比較史的に検証する。以上3つの目的を目指すものである。 そのために、平成26年度の研究実施計画における課題は、(1)現代の子供の友人関係における特質に関する調査、(2)明治期以降現代に至る学校における生徒指導(訓育)の生成・展開に関する資料収集及び整理を行う。以上2点であった。 (1)については、平成26年秋に全国の小・中・高の各学校から1200校(各500,400,300校)を層化無作為抽出法により選び、調査協力を打診し、その結果依頼に応じた36校に平成26年末に27項目の質問項目から構成されている調査票を送付し、27年1月末に回収した。回収数は児童生徒数で3196名(小697、中1530、高969)であった。3月末までに基本的な集計作業を終了し、8月の日本特別活動学会での発表に向けて、分析を進めているところである。 (2)については、明治期以降の「訓育」観と「訓育」実践の概要について調査を上記作業と並行して行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実施計画で掲げた二つの目標、特に26年度の重点目標と考えていた「友人関係に関する」調査が全国の小中高32校の協力により達成できたこと。その結果、回収された調査票の集計、分析作業が進行中であり、平成27年8月の日本特別活動学会の大会での発表を目指している。 第二の目標である訓育の比較史的検討については日本の小学校についての整理検討を行っているところであり、実施計画中の課題に取り組んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度においては、以下の研究発表、調査、研究を計画している。 (1)8月に開催される日本特別活動学会において平成26年度に実施した子供の友人関係に関する調査の結果等について発表する。 (2)生徒指導システムに関する実態調査 前年度の調査の分析結果に基づき、広い意味での生徒指導システムの実態を明らかにする質問項目等を作成し、小中高等学校の教員に対する調査を平成27年度中に実施する。 (3)近代学校における生徒指導(訓育)の生成・展開に関する比較史的資料収集及び整理 明治期以降の日本の学校(主に小学校)における訓育の実践及び理論の展開に関する資料収集及び整理を行うとともに、アメリカ、ロシアの学校における訓育の実践及び理論の展開に関する資料を収集・翻訳する。アメリカについてはAubreyのGuidanceに関する論文の収集・翻訳を進め、ロシアについては1960年代中等教育の量的拡大期以降における学級担任の職務の変遷に関する資料の収集翻訳を進める。
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