研究課題/領域番号 |
26381287
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
黒田 篤志 関東学院大学, 人間環境学部, 准教授 (10636393)
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研究分担者 |
森本 信也 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (90110733)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 科学概念 / 概念構築 / 教室談話 / 談話分析 / 教授行動 / 教師教育 / コンサルテーション / スーパービジョン |
研究実績の概要 |
研究の目的は、小学校理科授業において、教師の力量向上の為の理科スーパービジョンシステムの構築である。5年で次の研究を進める予定である。 ①教授ガイドの作成:理科授業の教室談話分析を実施し、子どもの問題解決的な活動を保障する教師の教授行動を明らかにする。その分析を基に、教師の経験年数による熟達の度合いを考慮した理科教授ガイドを作成する。 ②教授ガイドを活用したコンサルテーションの実施:作成した教授ガイドを基に、専門家によるコンサルテーションを実施する。その際、コンサルテーション内容の記録、コンサルテーション後の授業実践を記録し、教師の教育技術、熟達化を調査する。 ③スーパービジョンシステムの構築:従来型の授業-研究協議という手順で進められる研究体制を発展させ、研究校の研究システムの中に、教授ガイド、コンサルテーションを位置付け、スーパービジョンシステムとして教師の教育技術の向上を図ることで、教師教育の定型を構築する。 26年度は、教授ガイド作成のために、教師の行う理科授業の教室談話分析を実施した。具体的には、子どもの問題解決的な活動を保障する教師の教授行動を明らかにする。対話的な理科授業における教師の足場づくり(scaffolding)について、教室談話からその機能を分析した。足場づくりは、Vygotskyが提起した発達の最近接領域(zone of proximal development)を形成する為に、Woodらにより他者との相互行為によって上位概念への到達を促す機能として考案された概念である。Woodらが提起した六つの機能を、教師の発話を分析する枠組みとして参照することで、授業における教師の足場づくりについて調査を実施した。その結果、教師は、子どもとの対話を媒介として即応的に足場づくりの六つの機能を活用しながら科学概念構築を図っていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教授ガイド作成の為に、理科授業の教室談話分析を実施し、子どもの問題解決的な活動を保障する教師の教授行動である足場作り発話に関する調査・分析を行った。また、26年度中に研究協力者から提供された理科授業のプロトコル化が、約50パーセント終了した。27年度は,継続して授業記録を撮影するとともに,プロトコル化の効率を上げていく。
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今後の研究の推進方策 |
26年度の分析結果を基に、理科授業の教授ガイドの骨格を作成する。また、教授行動調査を継続実施するとともに、専門家による研究協議会での指導、研究者によるコンサルテーションを同時に実施する。専門家による協議会、コンサルテーションの様子も動画において記録していく。授業、協議会、コンサルテーションの様子をすべてプロトコル化し、27年度末に暫定版の理科教授ガイドの作成を行う。27年度も談話分析におけるプロトコル作成は、大学生に依頼する。授業協力校は、横浜市において、先進的な理科教育研究を行っている小学校に依頼する。 コンサルテーションについては、調査インタビュー(能智 2011)の形式をとる。セッティングは、インフォーマル・インタビューで個別に行う。また、構造化の程度は、半構造化インタビューとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、参加予定であった日本理科教育学会全国大会に出席しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額については、プロトコルおこし時に要求のあったノイズキャンセリング機能付きのヘッドホンを購入予定である。
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