理科授業の教室談話分析を実施し、子どもの科学概念構築を図る教授行動を教授的側面・学習的側面・評価的側面から明らかにした。その分析を基に、教師教育に寄与する理科教授ガイドを完成させた。また、横浜市内の研究協力校に校内研究体制であるスーパービジョンシステムを構築し、教授ガイドを活用したコンサルテーションを実施した。その結果、研究者と実践者の研究協力体制を機能させることができ、また、教師の教授行動への認識変化、授業実践の変容を記録分析することで、教師の教育技術、熟達の度合いを明らかにすることができた。具体的には、30年度も5年間継続してきた授業研究会、協議会、コンサルテーションを実施し、教授ガイド、スーパービジョンシステムの修正を加えつつ、教師集団の教育技術の向上を図った。その際に、教師の教授行動調査を継続実施するとともに、専門家による研究協議会での指導、研究者によるコンサルテーションを同時に実施した。専門家による協議会、コンサルテーションの様子も動画において記録し、授業、協議会、コンサルテーションの様子をプロトコル化した。27年度から5年間継続して作成し修正してきた理科教授ガイドの完成版として、書籍「深い理解を生み出す理科授業とその評価」(黒田・森本編著、学校図書、2018)を刊行するに至った。今後も本研究を継続するとともに、新しい視点として学校及び教師のカリキュラムマネジメント力の向上に関した調査・分析を実施していく予定である。
|