子供の問題の背景が想定よりも複雑である場合、その“構成要素をより多面的に取得する”必要があることが判明した。そこで、子供にまつわる情報のインプットを学校教育の場にいる養護教諭や担任教諭だけでなく、家庭教育の場にいる保護者や社会教育の立場からの情報も必要になる。このことは、文部科学省によってすすめられている「チームとしての学校」の目指すところとも一致する。すなわち、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、その他の関係諸機関の立場からの情報をインプットする新たなインタフェースが求められる。 “構成要素をより多面的に取得する”ことを達成するためには、そのインタフェースの多面的対応が必要となる。「チームとしての学校」を構成する学校内外のメンバーがもたらす多面性は、それぞれの立場による見方・考え方の差異によるものである。そのため、子供の問題構造を構成する要素をインプットするインタフェースは、それぞれの見方・考え方の差異に応じなければならない。これを実現するために、データベース構造に新たに見方スキーマ・考え方スキーマを設定し、システムに実装した。 本システムでは、入力された情報が入力者の立場によって異なるバスケットに蓄積されることになる。バスケットを分けることにより、蓄積された情報に第一段階の意味づけがシステムによって実施される。この場合、フィールドに入力された情報がひとまとまりのテキスト情報として蓄積されるのではなく、システムの要素テーブルを参照することにより、情報を構成する要素ごとに分割して蓄積されることになる。そして、その要素が持つ単体の意味だけでなく、自由なタグ付けによって他の要素との関係の発見を通して、要素と要素の間の「関係の意味」を読み取ることを可能にする。 今後、「チームとしての学校」の要としての養護教諭を支援するシステムとして改良する予定である。
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