研究課題/領域番号 |
26381299
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研究機関 | 奈良学園大学奈良文化女子短期大学部 |
研究代表者 |
吉田 明史 奈良学園大学奈良文化女子短期大学部, 幼児教育学科, 教授 (30444615)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 保育者 / 数学力 / 環境を構成する力 / 観察眼 |
研究実績の概要 |
保育者の「数学力」については、算数・数学(以下、「数学」という)にかかわる素養としての単なる知識や技能にとどまらず、「数学にかかわる様々な活動場面を設定したり、日常の場面から数学的な内容を見い出したりする力」と規定し、その具体的な内容について検討した。 その中で学生が身に付けておくべき具体的な資質・能力として、いくつかの提案があった。例えば「小学校3年生程度の数学的知識を持ち、その意味を知っている」「遊びや生活における数学的意味を理解している」「数学的な側面から学ぶ環境を構築できる」という3つの柱、「幼稚園教育要領や保育所保育指針に述べられている数学的な内容について理解している」「小学校の学習内容としての、数、量、形にかかわる内容を幼児の視点から見つめ直すことができる」「幼児の活動場面から数学的な要素を見い出すことができる」「幼児の活動に数学的な要素を組み入れることができる」「幼児に体験させておきたい算数的活動の知識を身に付けている」「数学の側面から採用試験に合格できる力を身に付けている」という6つの柱なども提案された。また、幼稚園長などへのアンケートでは、「幼児を理解する力」「柔軟な心と体」「確かな専門性」があげられた。 これらについての具体的な検討を進め、現時点では、「保育者に身に付けるべき数学力」として次のような内容を重要視することを確認し合っている。1)保育者が身に付けるべき算数の基礎知識として、「幼児の知的発達のために知っておくべき数学的な内容」「事務処理にかかわる数学力」「数学の側面から幼稚園教諭として採用試験に合格できる力」を、2)環境を構成する力として、「幼児の活動や身の回りの環境の中に数学的な内容(要素)を見出す(気付く)力」「幼児が数学的な内容に触れられるような環境を構成する力」「数学的な活動を支援したり高めたりするための意図的な指導展開を立案する力」など。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究協力者による7回の会議を開催し、「数学力」についての枠組みについて様々な意見交換ができた。リスト作成までには至っていないが、特に、活動や環境から数学を見つける観察眼や意図的に数学的な環境を構成する力の必要性について具体的に検討できた。また、複数の幼稚園の園長からの情報を踏まえた検討も進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、さらに幼稚園や保育所の現場からの情報をできるだけ多く取り入れて、必要とされる数学力についてリストの形で整理していきたい。また、保育者になる学生に対する具体的な教科書作りに着手していきたい。その際、具体的な授業のモジュールなどを考えていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じたのは、次の三つの理由による。海外調査費が節約できたこと、研究会議場所が代表者所属大学に限られていたこと、研究協力者による現地調査が少なかったこと。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、幼稚園や保育所への訪問回数を増やして研究を充実させたいので、旅費等に活用する予定。
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