平成28年度は、以下の研究活動を実施した。 第一に、平成26年度、27年度に引き続き、公民教育カリキュラムと特に関係が深いと考えられる六つの「○○」教育、すなわち「法教育」、「金融経済教育」、「消費者教育」、「社会保障教育」、「租税教育」、「主権者教育」に関する文献調査を行った。具体的には、各省庁や都道府県教育委員会、行政部局及び推進団体から公表されている授業実践事例を収集し、学習指導要領に基づく現行の公民教育カリキュラムの枠組との関連を踏まえて分析・位置付けを行った。更に、それぞれの「○○教育」に関連する学会、推進団体等の研究成果である学術論文、実践記録、報告書等の収集及び整理・分析を行い、成果と課題を明らかにすることができた。また、複数の「○○教育」を相互に関連させた単元計画に基づく授業実践事例の収集を実施した。 第二に、平成26年度より3年間にわたって継続して収集し、現行の公民教育カリキュラムへの位置付けを行った授業実践事例の中から、平成28年12月に発出された中央教育審議会答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」の方向性を踏まえ、カリキュラム・マネジメントの視点から、公民教育カリキュラムを超え、学校の全体計画に適切に位置付けて様々な教科等で実施され得る事例の抽出を行った。 平成28年度は研究最終年度であったため、学会、推進団体等の研究会において積極的に成果を発表するとともに、より一層学校現場に受け入れられやすい教育目標・内容へと「○○教育」の在り方を改善する一助として、育成することが求められる資質・能力の観点から研究成果の価値付けを行った。
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