基盤研究Cの4年度目(最終年度)は、進歩主義教育の先駆けとして実践を展開していたデューイ実験学校と関連が深いシカゴ・フィールド博物館の展示内容やシカゴ市の公立学校の訪問状況について調査を行った。19世紀末のシカゴでは、現代のようにカラー写真が掲載された教科書・副読本やインターネットがない時代においては、博物館を訪問して実物や模型を教材として学ぶ授業が模索されていた。学習に困難がある場合、視覚的な教材が有用である点は現在の研究では明らかになっているが、当時は教材の形態が制約されるなかで、博物館を訪問していたことが分かった。 2017年9月に早稲田大学で開催された日本デューイ学会第61回研究大会において「デューイ実験学校の歴史授業とシカゴ・フィールド博物館の「住まい」の展示活用」 の口頭発表を行った。その際、デューイ実験学校の研究者から複数の貴重な意見をいただき、2017年11月から2018年1月にかけて研究論文の執筆・投稿を行った。2018年4月現在、日本デューイ学会の学会誌において審査中となっている。 また2018年2月には、デューイ実験学校の実践記録の一部が保管されているコーネル大学附属図書館内の貴重資料室を訪問し、資料調査を行った。これにより報告書執筆や上記の投稿論文を補完することが可能となった。具体的な資料は、実験学校の元教師によるKatherine Camp Mayhew Papers である。Campの父がコーネル大学の仕事に関連していたこともあり、過去の所蔵先のTeachers Collegeから移管された資料群である。
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