研究課題/領域番号 |
26381304
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
村上 由則 宮城教育大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (90261643)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 障害理解 / 病弱教育 / 教材開発 / 特別支援教育教員養成 |
研究実績の概要 |
1.病弱児の「困難体験」理解を促すハンドクラフト教材の開発・充実 26年度は、腎臓疾患の進行に際して適用される人工透析(血液透析および腹膜透析)を例にとり、人工透析のメカニズムの可視化と体験可能な教材について検討した。また、腎臓疾患の悪化に伴う二次障害の発生メカニズムの提示から、逆に人工透析の重要性に関する理解を促す教材の作製と体験を可能とする教材の開発を行った。それぞれの教材の作製・改善とそれを使用した授業経過を分析対象とし、「障害理解」にとっての教材作製の有効性を検討した。その結果、受講学生は腎臓とその障害時に適用される人工透析について興味関心を深め、腎臓のもつ血液中の不要物質のろ過、過剰水分の調整機能を理論的に理解するとともに、作製という能動的行為と教材操作による身体感覚を通して推論的・論理的認識が可能となったと考えられる。
2.ICTを活用した「教材ライブラリー」による指導実践の検証・改善 26年度は、「ICT教材ライブラリー」タブレット版の構築と、そのライブラリーを活用した授業方法の検討である。「ICT教材ライブラリー」タブレット版の構築は完了し、各種OSのPCおよびタブレット端末から検索と視聴が可能となっている。また「ICT教材ライブラリー」を活用した授業を開始した。授業については、取り扱う疾患や受講学生の状況により活用状態が異なり、カリキュラムへの適切な組み込み方を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「1.病弱児の『困難体験』理解を促すハンドクラフト教材の開発・充実」に関しては、人工透析(血液透析および腹膜透析)を例にとり、人工透析のメカニズムの可視化と体験可能な教材について検討した。当初の計画の通り、プロトタイプ・モデルに基づく試作モデルの開発に至っている。また、二次障害から逆に、腎臓のメカニズムと透析の必要性の理解を促す改良モデルの開発にも到達している。
「2.ICTを活用した『教材ライブラリー』による指導実践の検証・改善」に関しては、申請時に計画した「ICT教材ライブラリー」タブレット版の構築が完了し、各種OSのPCおよびタブレット端末から検索と視聴が可能となっている。これを活用し、一部の授業に取り入れ、授業内容・方法の検討を開始した。しかし、このライブラリー・システムを活用した授業についての受講学生による評価は、口頭評価の段階に留まっている。
したがって、研究全体の進行状況については、当初計画と照らし合わせるとバラつきがあるが、全体としてはおおむね順調に進展していると判断するに至った。
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今後の研究の推進方策 |
「1.病弱児の『困難体験』理解を促すハンドクラフト教材の開発・充実」に関しては、複数疾患群に共通する生活管理上の「困難」や、てんかんなど意識・認識活動上に「困難」が生じる疾患群にも教材開発の対象を拡張する予定である。
「2.ICTを活用した『教材ライブラリー』による指導実践の検証・改善」に関しては、各種OSのPCおよびタブレット端末に対応した「ICT教材ライブラリー」の活用を一部の授業に取り入れ、その内容・方法の検討を継続する。あわせて、「困難体験」理解を促すハンドクラフト教材とライブラリー・システムを活用した授業について、受講学生を対象にした評価アンケート等の開発と、それを活用した組織的な評価を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
教材作製にかかわる物品が、いわゆる雑貨でしかもさまざまな種類のものであった。その結果、当初想定した金額と比較し、安価であったことにより、9,000円程度の差額が生じたと考えられる。
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次年度使用額の使用計画 |
2年目にあたる27年度においても、さまざな雑貨等を活用して教材開発に取り組むことになっている。前年度26年度の使用残額(9,428円)は、この教材の素材となる雑貨等の購入に充当する予定である。
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