1.病弱児の「困難体験」理解を促すハンドクラフト教材の開発・充実 28年度は不随意運動について、その発生メカニズムの可視化と、体験可能な教材について検討した。不随意運動は、対象者の意図に合わない運動の総称であり、それをかかえた患児・者は意図的動作が妨げられ「苛立ち感情」が生じる。28年度も「障害理解」に資する「事物」モデル型教材と、体験・体感を取り扱った「状況」モデル型教材の開発を行った。「事物」モデルでは錐体路・錐体外路の両系統の総合的な調整メカニズムを、「状況」モデルでは微細運動の遂行妨害による感情体験や、調整メカニズム阻害による「驚き」体験を取り扱っている。 2.ICTを活用した「教材ライブラリー」による指導実践の検証・改善 28年度も「ICT教材ライブラリー」を活用した授業実践と、学生による授業内容等の評価を行った。演習形式授業の15コマのうち5コマを活用し、ライブラリーのガイダンス、学生による自由なアクセスとそれを活用した教材作製、完成教材のプレゼンテーションのスケジュールで授業を展開した。授業評価についてテキストマイニングの手法も加えて分析した結果、「病気理解」「教材作製の意味」などについての学生の理解が深まることが確認された。なお「教材ライブラリー」にアップロードされていない「不随意運動の発生」「オスグッド症候群」「中耳炎」などの教材を、学生グループが独自の視点で開発・充実させることが観察され、この授業形式がアクティブラーニングを生み出す可能性が確認された。加えて「教材データベース」と連動させて、「病気理解」にとって画像(漫画)活用の学生指導への有効性を検討したところ、教育の観点からの「病気理解」と「生活上の困難」の理解に画像(漫画)が効果的であることが確認された。
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