研究課題/領域番号 |
26381305
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
尾崎 久記 茨城大学, 教育学部, 教授 (40092514)
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研究分担者 |
岡澤 慎一 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (20431695)
勝二 博亮 茨城大学, 教育学部, 教授 (30302318)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 重症心身障害 / 肢体不自由 / 能動的動作 / 動作解発 / 生体機能データ |
研究実績の概要 |
本研究の2年目である平成27年度は,昨年度から取り組んでいる重症児事例に対する介入や生理計測による機能評価を継続して取り組んだ。白質欠損事例においては,昨年度より現れるようになった右回旋優位の頭頸部運動を理学療法士との連携のもと姿勢を安定させることにより左右均等に回旋してボタン押し反応をすることが可能となった。新たに取り組んだ歌遊び活動では,指鈴を装着させると時折上腕を拳上させるなどの手腕動作がみられ,心拍反応においても手腕動作前から加速反応を示すなどの変動傾向を明らかにした。 超重症事例については,iPad画面に触れると音声フィードバックが生じる条件下において,わずかに拇指が動くことを見出し,その際の行動変容と心拍および脳血流計測による生理学的評価を試みた。その結果,支援経過とともにタイミングの良い拇指の動きがみられるようになり,iPad画面に手を置くと心拍の減速反応がみられたり,前頭領域で脳活動を認めることができた。 脊髄性筋委縮症事例においては,眉間部の動きに反応するピエゾセンサーに加えて,非接触型入力装置により眼球の動きに応じて音声が流れるように設定すると,選択的な目の動きがみられるようになり,能動的でかつ選択的な意思表出の促進が確認できた。 さらに,前年度に取り組んだ前述の白質欠損事例や脊髄性筋委縮症事例,そして重度脳性まひ事例における研究に関して,その成果を国内学会にて発表した。若年性脳梗塞事例に関しては論文化を進めており,次年度には投稿につながるよう準備を継続して進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続き,重症心身障害の事例と関わりを継続的に行ってきた。研究論文への投稿には至っていないものの,昨年度までの成果については学会で発表を行い,成果の公表に努めてきた。平成27年度の研究成果に関しても,学会には発表を行う予定である。したがって,研究はおおむね順調に進展しているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
脳梗塞事例については論文化を目指す。白質欠損事例については,能動的動作を選択反応に導くような支援を目指して介入を続けていく。一方で,これまでの研究成果を学会にて発表するとともに論文化を目指す。超重症児事例については,研究成果を発表するとともに論文化を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が副学長となり,研究活動が自由に行えなくなったことにより未執行額が増えたことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
研究代表者は研究の統括的立場は次年度も行えるため,研究遂行そのものには支障はない。しかし,経費執行の観点から,次年度においては研究分担者に対する経費配分を増やすことで代表者の事務的負担を軽減させ,経費執行をはかっていきたい。 今年度の研究成果については,次年度に発表予定があり,旅費や人件費などに一定程度の支出が可能であると見込まれる。一方で,各事例における機能評価の観点から,新たに物品を購入する予定もある。
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