研究課題/領域番号 |
26381306
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
熊谷 恵子 筑波大学, 人間系, 教授 (10272147)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 算数障害 / スクリーニング検査 / 暗算 / 反応時間 / 自動化 / 足し算 / 引き算 / サビタイジング |
研究実績の概要 |
算数障害の中で、足し算29問、引き算27問、くり上がりのある足し算20問、繰り下がりのある引き算18問を選び、和が20までの数の暗算に関わる計94問のスクリーニング検査を作成した。さらに、計算以前の、ドットのサビタイジング及び計数に関する問題も45問作成した。 それをiPad上で、こちらが設定する時間提示し、なおかつ、反応時間とタップした場所を測定できるアプリケーションシステムを用いて、小学校3校1、2、3、4年生に、この課題を実施し、正答率だけではなく、反応時間の測定を行った。すべての課題をやり終えるまでに15分程度かかるものであった。 これらの結果、学校によって、正答率等は異なる結果であったが、計算が暗算として自動化される時間は、課題提示から、1.5秒までの時間であることが確認された。そして、足し算、引き算については、小学校1年生の習いたてでも、この時間内に入る人数は6割程度いるが、最終的に、繰り下がりの引き算の暗算が自動化するのは、小学校4年生であることが明らかとなった。また、答えが同じ数になっても、足される数、足す数、あるいは引かれる数、引く数によって、正答率も反応速度も異なることが明らかとなった。さらに、ドットのサビタイジング及び計数については、系列配置の場合は3までがサビタイジングの限界であり、ランダム配置の場合には、4、6、5の順でサビタイジングに近い反応時間で計数ができたことが明らかとなった。これらの課題を行った場合に、早期のうちに、これらの計算ができない子供たちがおり、それらの子供たちがいわゆる算数障害というべき子供たちであることが示唆された。 このような計算に時間がかかる子供たちに対する計算指導についての方法も検討した。タイプによって異なるが、大きく2つの方法が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実際に、子供たちのデータを取ることに3つの小学校に協力してもらったために、スクリーニング検査となる標準値を得ることができた。まだ、分析が終わっていないものもあるが、それらを分析して学会等に発表したいと思う。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、昨年度行った足し算・引き算の他に、かけ算・割り算に関するスクリーニング検査の作成とデータ収集を行う。 さらに、かけ算・割り算がなかなか自動化しないタイプの子どもに対しての指導方法を確立する。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度(20141年度)には、学力検査の問題の難易度についての検討を行ったが、その時に、調査に関する費用がかからなかったこと、また、昨年度(2015年度)について、本来は、学会発表をするつもりでいたが、学力検査の内容を公表するにあたり難しい点があったため、学会発表を行うことができなかったことで、繰り越されたものを使うことができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年度に作成した足し算・引き算に関するスクリーニング検査を作成し、実際に小学校で実施して、データを取ったが、さらにデータを増やすことが必要であるため、全国主要な場所におけるデータ収集のために使用する。さらに、今年度はかけ算・割り算に関するスクリーニング検査を作成するため、さらにデータ収集が必要である。 また、昨年度までは、スクリーニング検査を実施するためのiPadが20台で、1クラスを全て一度に検査実施することができなかったので、さらに20台増やして実施したい。また学会発表や論文発表も行う。
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