研究課題/領域番号 |
26381308
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
小池 敏英 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (50192571)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 学習障害 / 読み書き障害 / 漢字学習 / リスク要因 |
研究実績の概要 |
近年、LD児に対する個別支援と共に、通常学級での学習困難に対する効果的支援が求められている。通常学級における国語・算数の重度学習困難のリスク要因として、読み書きの基礎スキルやワーキングメモリの機能不全がある。リスク要因に特化した支援は、学習困難のリスク要因回避に効果的である。本研究では、①国語・算数の基礎学習の困難(ひらがな文の流暢な読み、説明文章の読解、漢字単語の読み書き、算数の計算)に対するリスク要因を、小学生各学年500~700名調査を基に検討する。②リスク回避の個別学習教材を開発する。③通級指導教室の児童を対象とした学習教材の効果について、生理心理学的手法による測定に基づき検討する。 本年度は、2~6年の児童757名における漢字単語の読み困難のリスク要因について、漢字単語の心像性効果との関係で検討を行った。その結果、小学2年・3年・4年では、ひらがな単語の流暢な認知がリスク要因として大きく関与した。一方、小学5・6年では、低心像性漢字単語の読みについて、順唱と逆唱の重複した低成績がリスク要因として関与した。これより、漢字単語の読みのリスク要因は学年とともに変化することを指摘できた。低学年では、ひらがな単語の流暢な認知と読みが関与し、高学年では、言語性短期記憶の機能不全を推測できた。これらのリスク要因の支援手続きは同じでないので、学習支援においては、リスク要因に対して最適な支援の実施が必要であることを指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、2~6年の漢字単語の読み困難と書き困難のリスク要因について、研究遂行する上で、データ処理と研究協力の確保は大切な要因になる。本年度は、学習調査の分析について、大量データ処理の見通しを立てることができた。また、研究協力についても、良好な関係を形成維持することができた。これに基づき、現在、ひらがな文の流暢な読み、説明文章の読解について、資料の収集と分析を遂行中である。従って、現在までの研究の目的の達成について、おおむね順調に進展している、と評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
現在、ひらがな文の流暢な読み、説明文章の読解について、資料の収集と分析を遂行中であるので、これを完成させることを第一の目的とする。また、算数の計算については、学習障害児が困難を示す計算課題を文献検討により明らかにし、その課題について、基礎調査を行い、リスク要因の評価を行得るように、作業を進めていく。現在のところ大きな問題はない。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定の物品の納期が遅れたために、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
購入予定の物品であるので、予定通り発注し、購入することを予定している。
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