研究課題
国語(ひらがな音読、特殊音節単語の読み、読解)と算数の基礎スキル(算数思考)の困難のリスク要因と支援教材について検討した。ひらがな音読に関してはLD児38名を検討した(平成27年度)。有意味単語を提示し音読を求めた。文字数増加に伴い、音読潜時が延長し、読み困難が強くなることを指摘できた。また、ひらがな単語の読み困難の背景要因として、2文字単語の発話時間の延長が関与することを明らかにした。特殊音節単語に関しては、小学1~3年生(1373名)を対象に、特殊音節の表記選択テストを行い、低成績(10パーセンタイル)のリスク要因を検討した(平成28年度)。小学1年生では、音韻意識とひらがな単語の流暢な読みの低成績がリスク要因であったが、小学2・3年生では、ひらがな単語の流暢な読みと言語性短期記憶の低成績がリスク要因であった。読解に関しては、小学3~6年生(1168名)を対象に説明文の要点理解テスト(長文)を行った。読解未達成のリスク要因として、言語性短期記憶の低成績と共に因果関係(短文)の理解困難を指摘した(平成26年度)。算数に関しては、集合理解、因果関係の理解を含む思考問題を作成し、LD児30名について検討した(平成26年度)。算数思考問題について、健常児パターンと異なる低成績パターンを示すLD児は、WISC-Ⅲの言語理解指数や知覚統合指数が個人内で低い傾向を示し、背景要因として指摘した。上記の読み書きスキルについて読み書き達成アセスメントを作成し、各個人のリスク要因に対応したプリント教材を開発した(平成28年度)。近赤外線分光法を用い、音韻処理(単語順唱課題と単語逆唱課題)時の脳活動について検討した(平成26年度)。前頭前野のoxy-Hb濃度変化について、1,2年生では左右差が明瞭でなかったが、3年生以降で左優位が明瞭になることを観察し、低学年の音韻処理の特異性を明らかにした。
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Journal of Special Education Research
巻: 5 ページ: 23-34
特殊教育学研究
巻: 55 ページ: 印刷中
学習障害児における改行ひらがな単語の音読特徴-音読の時間的側面と誤反応の分析に基づく検討
巻: 54 ページ: 65-75