研究課題/領域番号 |
26381309
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
奥住 秀之 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (70280774)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 知的障害 / 実行機能 / 抑制機能 / 身体運動機能 / 行為 |
研究実績の概要 |
本研究は、知的障害児・者の身体運動行為の困難(制約)について、それと関連の深いとされる実行機能の障害に注目し、その中でも実行機能の基礎とされている抑制機能に着目して両者の関連を検討すること、およびその知見を教育支援方法の考案に役立てることである。本年度の目的は、知的障害児・者を対象に、実行機能のうちの抑制機能の代表的な課題の1つであり、主に入力システムの抑制機能を評価し得るフランカー課題等と運動行為との関連を検討し、その実態を調べることである。通常のフランカー課題はPC等で制御して1つ1つ継時的に提示していくものであるが、本研究では簡便にかつ短時間で多くの参加者に実施するために、紙とペンを用いて行うアセスメントを独自に開発した。それをまず定型発達(健常)者40名に行い、その簡便性や妥当性を確認しえた。その結果に基づき、知的障害児・者50名に実施した。またこれと併せて視覚的注意と走査機能を検討するアセスメントであるキャンセリング課題の簡便なものをこれも独自に開発して実施した。参加者の人数は予定よりもやや少なくなったものの、視覚的抑制機能をより多角的に検討するための課題まで実施でき、より多面的に機能をアセスメントすることができた。知的障害児・者の抑制面の問題を確認するとともに、抑制機能に何らかの制約がある知的障害児・者については、身体運動の側面、とりわけ行動調整が必要な課題が低下する傾向が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目的の達成についてはおおむね順調に進んでいる。予定していた参加者の人数がやや下回ったものの、その分、関連する新たなアセスメント課題を複数実施することができたため、期待以上のデータを得ることができた。また、研究成果の外部への発表(論文、学会発表など)も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
1年目について、おおおむね予定通り研究は進んでおり、2年目は当初の予定通り、すなわち、知的障害児・者を対象に実行機能のうちの抑制機能の実態を継続的に検討する。Go/No-go課題と類似しており、紙とペンを用いて簡便に実施できる同異課題を独自に開発するとともに、視覚的注意の機能を検討するアセスメントも同時に実施し、身体運動・行為との関連を検討することを考えている。また、昨年以上に積極的に研究成果の発表(論文、学会発表など)も行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験に必要な物品等が使用できる状態になったため、物品費に余裕が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
円高の影響で想像以上に海外の物品購入や論文掲載費等がかさむことが予想され、それらの補充のための経費に充てる予定である。
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