研究課題/領域番号 |
26381310
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
小笠原 恵 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (90345322)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 発達障がい児 / 行動問題 / 支援者支援 |
研究実績の概要 |
本研究は、行動問題を示す発達障害児にかかわる支援者に対する支援プログラムを開発することを目的としている。対象は、教員及び児童発達支援事業等に携わる職員、将来教員を志望する学生である。 本研究2年目である平成27年度は、教員を対象とした2種類の研修会を開催した。昨年度明らかになった、行動問題への支援計画を立案する際に躓くプロセスを踏まえて、1か月に1~2回、1回2時間、計6回の学習会を開催した。参加者は、現職教員4名であった。その結果、躓くプロセスであった記録や機能的アセスメントにおいて、十分な理解が促進された。この成果について、日本特殊教育学会及び国際行動分析学会において発表した。さらに、これまで行った中長期の学習会との比較を行うために、同様の講義内容にて1日6時間の研修会を行った。11名の現職教員が参加した。 また、2箇所の児童放課後等デイサービス職員を対象とした事例検討会を年5回行った。さらに、長期休暇を利用して1名の対象児に対するコンサルテーションを行った。その効果は、対象児の行動変容及び職員と他児を含んだ環境の変容という観点から評価した。28年度、日本特殊教育学会で発表予定である。 さらに、行動問題を示す1名の障害児の保護者に対して、1回2時間、合計6回のペアレントトレーニング及び関係する放課後等デイサービス職員を対象とした研修会を行った。対象児の行動変容及び保護者の意識の変容からその効果を検討した。また、このトレーニングの経過については、著書にて発表した。 加えて、当初の予定に対象者としては含まれていなかったが、強度行動障害を示す4名の発達障害者にかかわる施設職員を対象に、1回2時間、合計3回の事例検討会及びOn-Lineを活用した支援を行った。その結果、4名中3名に明らかな行動変容がみられた。その効果については、対象者の行動変容と職員の意識の変容から検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画に従い、教員を対象とした2種類の学習会を開催し、前年度までに明らかとなった課題を解決した。さらに、支援者が支援計画を立案する際に躓くプロセス及び不足する知識に関する分析を終了し、その結果を公表した。現在は、行った学習会について、教員の知識、支援計画の適切性、子どもの変容という3点から分析中である。さらに、On-Lineを用いた参加教員へのフォローを継続中である。参加教員の支援技能がどのように変容したか否かについては、検討が残されている。発達支援事業等に携わる職員への支援プログラムについては、事例検討という形で定期的に開催し、かつコンサルテーションを行った。コンサルテーションについては、子どもの行動変容、職員や他児を含んだ環境の変容の2点から分析を完了している。事例検討会の成果については客観的な評価方法を検討中である。 平成26年度に行った将来教員を目指す学生を対象とした臨床実践の場でのOJT及びセルフモニタリングを用いた支援技能の変容については、現在分析を継続中である。 以上のことから当初の計画に対しておおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に課題として残した、①学習会に参加した教員の行動問題への支援に関する支援技能を評価すること、②発達支援事業等に携わる職員への事例検討会における行動問題に関する知識と技能の変容に関する客観的な評価・分析、③将来教員を目指す学生を対象とした臨床実践におけるOJT及びセルフモニタリングの効果についての分析、の3点について検討を行っていく。さらに、教員を対象とした学習会については、平成28年度も新たに募集を行い、開催予定である。 以上のことをまとめ、本研究の目的である行動問題を示す発達障害児にかかわる支援者支援プログラムをまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会の参加費が安価であったため。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究最終年度である平成28年度においては、これまで完了していないデータの分析及びそのまとめを行う。また、これまでの結果を踏まえて支援者支援プログラムを開発し、広く公表するためにホームページ作成や学会発表への参加を行う予定であるが、それらの費用に充てる。
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