研究課題/領域番号 |
26381313
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
有川 宏幸 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (80444181)
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研究分担者 |
入山 満恵子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (40389953)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 合理的配慮 / 情報翻訳 / 発達障害 / 支援ニーズ / 就学 / 幼稚園 |
研究実績の概要 |
近年、子どもの支援ニーズに応じた配慮を提供していくため、就学前後の緊密な連携の必要性が言われている。しかしながら、就学前後では支援環境、専門性が異なるなどの理由から、支援内容にかかわる情報の解釈がスムーズにいかない可能性が示唆されている(平成26年度実施)。そこで27年度研究では、就学前後の情報解釈のズレを最小限にとどめ、児童の実態をスムーズに解釈するための「情報引き継ぎチェックリスト」の作成を試みた。チェックリストは、昨年度のサンプル調査の結果をもとに素案(51項目)を作成した。それぞれの項目は4件法で評価できるようになっていた。それを、A市公立幼稚園に在籍する児童で、なおかつ支援ニーズがあり、実際に就学時に小学校への情報引継ぎを予定している全児童(84名)に対しチェックリストによる評価を行った。評価は担任が行った。チェックリストの回収率は100%であったが、白紙、もしくは欠損値があったものについては分析対象から外した。最終的に、60名分の回答について分析を行った。 項目それぞれについて、床効果(23項目)と天井効果(1項目)のある項目を分析対象から外し、因子分析を行った。また因子負荷が0.4を下回る2項目についても分析対象から外し、再度21項目について因子分析(最尤法により因子を抽出し、プロマックス回転)を行った。因子数は、固有値1以上の基準を設け、さらに因子の解釈の可能性も考慮し、支援ニーズを5つの因子で説明した。第一因子(5項目)は「集団参加への支援ニーズ」、第二因子(7項目)は「物品管理への支援ニーズ」、第三因子(5項目)は「対人関係への支援ニーズ」、第四因子(5項目)は「活動理解への支援ニーズ」、第五因子(2項目)は「活動切り替えへの支援ニーズ」であった。 次年度以降は、幼稚園からの情報を、小学校の実態に即して翻訳できるシートの作成を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、4か年計画で進められており、27年度は2年目である。当初の研究計画通り調査を実施している。ただし、チェックリストの素案の段階で項目数が多くなり回答に影響した可能性があった。 なお、28年度に予定している小学校への調査のために、27年7月に予備調査も行っている。これは当初の予定にはないものであり、当該自治体教育委員会の全面的な協力によるものである。
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今後の研究の推進方策 |
27年度、本研究の窓口となっていた当該教育委員会指導主事が、28年度は担当を変わることが、年度末の打ち合わせにて明らかになっている。新年度の担当者と速やかに連絡を取り、本研究への理解、協力依頼を行い、円滑に研究を進めていく。 なお、27年度に実施した予備調査の結果から、小学校の支援ニーズの類型化が困難である可能性が示唆されている。あらためてチェックリストの内容、構成、および分析法についての検討を行い、28年度の調査に備える。
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次年度使用額が生じた理由 |
急な公務が入り、年度当初に予定していた小学校、幼稚園へのモニタリング調査が実施できなかった。また、27年度実施分の調査用紙の回収が3月28日になったため、集計、分析が年度をまたぐため、人件費の一部について次年度使用額へ繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
28年度、29年度のモニタリング調査回数が、研究の当初より十分に確保できていなかったことから、それを実施する予定である。
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