研究課題/領域番号 |
26381330
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
古山 千佳子 県立広島大学, 保健福祉学部, 准教授 (90280205)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 特別支援教育 / 作業療法士 / 教員 / 連携 / 協働 / スクールAMPS |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、特別支援教育における教員と作業療法士(以下OT)の連携の現状を明らかにし、理想的な連携・協働モデルを構築することである。そのために今年度は、特別支援教育に関わるOTが、学校で、どの程度作業療法評価を実施し、その結果をもとに教員と協働しているかについて文献レビューを行い、さらには数名のOTから聞き取り調査を行うと同時に、スクールAMPS講習会を開催し、受講生から情報収集した。 文献レレビューの結果から、1)アメリカ、カナダなど北米では、学校にOTが関わるための法律やシステムが整っており、教員とOTの協働によって実践される協働的コンサルテーションの効果が報告され始めていること、2)わが国では、文部科学省が、学校教育法に「特別支援教育」を位置づけたことで、学校におけるOTの必要性は認められ始めているが、実際に関わる人数は少なく、しかも、学校における作業療法の評価や実践内容には、明確な位置付けや具体的な方法が定められておらず、効果も示されていないことが明らかになった。 文献レビューの結果をもとに、学校に関わるOT3名とスクールAMPS講習会受講生に対し、学校での作業療法実践について聞き取り調査を実施した。その結果、学校に関わるOTの多くは特別非常勤講師や巡回相談員として学校を単発的に訪問していること、1回の訪問では数名の生徒の観察評価とフィードバックを行うのが精一杯で、標準化された評価を行う時間的余裕がないこと、また、学校や教員からは生徒の心身機能への介入を期待されるためスクールAMPSなどの作業療法独自の評価が普及しにくいあるいは実施しにくい環境があることが明らかになった。 以上の結果を元に、アンケート調査の内容を見直すと共に、個別又はグループを対象としたインタビューガイドの作成に取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来の研究計画では文献レビューを実施した後、スクールAMPSを用いた教員と作業療法士(以下OT)の連携の現状に関するアンケート調査を実施する予定だった。しかし、予備的に実施した3名のOT又はスクールAMPS講習会受講生への聞き取り調査から、学校でスクールAMPSを実施することに予想以上の困難さがあることが明らかになった。そのため、当初計画したアンケート調査では、スクールAMPSを用いた教員とOTの効果的な連携方法に関する情報が得られにくいと考え、アンケートの内容を再検討したことで調査の実施がやや遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
学校でスクールAMPSを用いた作業療法を実践し、教員と作業療法士(以下OT)の連携の現状や理想的な連携方法を明らかにするためには、アンケートの内容を工夫すると同時に、それを実践しているOTにインタビューし、実践事例を具体的に聞き取ることが有効だと考えた。そのため、アンケート調査の内容を見直すと共に、スクールAMPS講習会を開催し、学校でスクールAMPSを使用できるOTを育成しつつ、そのOTと共に学校でスクールAMPSを用いた作業療法実践に取り組み、具体的な方法や事例を明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度実施予定だったアンケート調査の実施を見直したことにより、印刷費や郵送費が発生しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度実施しなかったアンケート調査を実施する予定である。そのため、今年度の予算に加えて印刷費、郵送費として使用する。さらに、今年度はスクールAMPS講習会を開催し、学校でスクールAMPSを使用できる作業療法士(以下OT)を育成しつつ、そのOTと共に学校でスクールAMPSを用いた作業療法実践に取り組み、その体験について個別及びグループインタビューを行う。そのためにの交通費、協力者への謝礼の一部として使用する予定である。
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