学校等における教員と作業療法士(以下OT)の連携,協働における問題点を明らかにし,より効果的な連携・協働モデルを提案することを目的に研究を実施した。 今年度は,OTが学校で用いる観察型の評価であり,教員とOTの連携を導くツールの1つである学校版運動とプロセス技能評価(以下スクールAMPS)の講習会を開催し,8名の作業療法士が受講した。これらのOTに対し,経験年数,費用負担,受講動機,学校課題への介入の有無や頻度,学校等での評価の有無と頻度等に関するアンケートを実施し,同時にスクールAMPSを用いた実践事例の提供を依頼した。過去2回の講習会時のデータと併せて分析した結果,全受講者39名のうち20名から解答が得られ,6事例が提供された。対象者の経験年数は平均9.5年,受講費の全額自己負担が多く,参加のきっかけは,作業療法の結果を客観的に示す指標が必要,新たな評価法を知るためが多かった。学校課題への介入および学校環境での介入はほとんどなしが最も多かった。 平成27年度に実施した学校OT15名,学校教員3名を対象としたグループインタビューの結果を質的に分析した結果,教員とOTの連携,協働のバリアには「一教員の努力では困難」,「OTが学校に関わるきっかけがない」,「学校側の受け入れが未整備」,「連携回数と時間不足」,「表面的な関わり」,「立場が対等ではない」,「教育と医療の壁」,「教員の理解不足」,「OTの説明不足」,「互いの仕事内容の不理解」,「学校OTの成果が示されていない」のカテゴリーが抽出された。また,連携推進のポイントでは「OTを判りやすく説明する」,「具体的成果の明示」,「環境やシステムの構築」,「親を巻き込む」,「コーディネータの育成と活用」が抽出された。以上の結果と提供された事例の内容から学校等における教員とOTの連携・協働モデルを検討した。
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