初年度(平成24年度)は、現場の教員(主に公立の小学校、中学校、特別支援学校)が児童生徒の問題行動をどのように把握し、それが生起している理由・対処法などについてアンケート調査を実施した。その結果、大半の教職員が応用行動分析学(ABA)という行動の科学の原理には即していない、直観的・体験的な指導を行っていることがわかった。(この結果は翌年の日本特殊教育学会で発表した。) 二年目(平成25年度)は、前年度の結果を踏まえて、教員を対象としたABAの理解啓発のビデオを研究者チームで独自に仮製作し、その効果測定(ビデオの視聴前後でのABAの理解度チェックの得点を比較)を行い、特にABAのことを知らない初学者に対して、ABAの理解を促進する効果があることが示唆された。(この結果は翌年のタイの心理学会で発表した。) 三年目(平成26年度)は、前年度の結果を踏まえて仮作製したビデオをプロのビデオ制作会社に依頼して本作製し、その効果測定(ビデオの視聴前後でのABAの理解度チェックの得点を比較、及び、ABAとは関係のない生徒指導用のビデオを視聴した統制群との比較の両方を実施)を行い、前年度の結果を支持する結果を得ている。また実験群と統制群の間にも有意な差がみられている(本結果は、平成27年度の日本特殊教育学会で発表予定である)。完成したABA理解啓発ビデオ(本編約25分、解説編約14分)は、190本(DVD)複製を作成し、教育目的での使用は複製可としてすでに学校や教育機関(含む大学)への配布を開始している。 今後は、本DVDを使った校内研修を実施し、さらにスクールワイドPBS(ポジティブな行動支援)構築の礎となるかどうかの効果測定につなげていきたいと考えている。(すでに実施した学校が平成28年度内に1校あり)
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