研究課題/領域番号 |
26381334
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
家近 早苗 大阪教育大学, 連合教職実践研究科, 教授 (40439005)
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研究分担者 |
渡邊 弥生 法政大学, 文学部, 教授 (00210956)
田村 修一 創価大学, 教職研究科, 教授 (00442020)
柘植 雅義 筑波大学, 人間系, 教授 (20271497)
石隈 利紀 筑波大学, 人間系(特命教授), 特命教授 (50232278)
花熊 暁 愛媛大学, 教育学部, 教授 (60172946)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | あ / あ |
研究実績の概要 |
平成28年度は、児童生徒に対するいじめ予防のための教育プログラムを実施し、全体の統括と報告・学会等で発表することを予定していた。しかし、研究の遅れから、研究の統括と報告については平成29年度に実施することとし、研究協力校においていじめ予防プログラムを継続して実施した。その結果、当初計画していた「P3Rモデル(Prompting Positive Peer Rerationships)」による教師の問題解決の手法に加え、より日本の学校に適合したモデルが必要なことが明らかになった。 そこで、新たに「Green Zone」(Kipper, Ramey&Emswiller,2013)による児童生徒の行動基準を活用するプログラムから示唆を得て、二つの考え方を統合したプログラム(グリーン・ハート・プログラム)を作成し、大阪府内の小中学校で実施した。プログラムの作成と実施に当たっては、研究協力校の教師と協力して内容について検討し、教師には問題解決の手法の研修を実施した。プログラムの内容は、学校の「道徳」の時間、「ホームルーム」の時間、児童生徒を中心とした生徒会活動を活用し、①教師のいじめに対する認識を向上させること、②児童生徒が自身の行動について考える判断基準をつくること、教師が、児童生徒自身が自分で行動を修正できるように働きかけることなどをプログラムを組み込み、実施した。特に「道徳」の時間に活用する教材にいじめ予防の考え方とグリーン・ハート・プログラムの基本的な考えを取り入れた指導案を作成して、協力校の教師が実施した。 これまでの実践といじめ予防プログラムについては、実践報告としてそのプロセスについてまとめ、検討している。また、児童生徒に対しては、プログラム開始時と半年後にいじめに関する実態調査と学校への適応についてアンケート調査を実施しており、現在、分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでに研究代表者・研修分担者は、米国のプログラムについて検討し、教師を対象にいじめに関するとらえ方についての実態把握をした上で、米国のスクールサイコロジストが実施している文献などを元にプログラムを検討してきた。また、平成27年度の米国での視察をもとに新たないじめ予防プログラムについて検討し、平成28年度に実施することができた。しかし、平成28年度に予定していた研究の統括・報告までは至っていない。 現在研究に遅れが出ている理由の一つとして、平成26年10月より研究代表者の所属機関が聖徳大学(千葉県)から大阪教育大学(大阪府)に変更となったことがあげられる。研究計画では研究代表者が定期的に通って調査実施を予定していた栃木県と茨城県の学校との連携が困難になったこと、研究分担者・研究協力者との打ち合わせなどの時間を予定通りに確保できなくなったことなどが理由である。しかし、大阪府で新たに研究協力校を得ることができ、いじめ予防プログラムについての検討と児童生徒への介入を行うためのプログラムの作成及び実施をすることができた。しかし、当初の計画よりも約半年の遅れが出ている。 またこのような状況から、教師の意識調査の基礎データとなる教師に対するインタビューの実施ができていない。そのため、研究計画で予定していた教師のいじめへの意識・態度・行動の変容の測定に関しては実施できていない。この点については平成29年度に実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度には、教師の意見を取り入れながらいじめ予防プログラムについて検討すること、改良したプログラムを実施すること、児童生徒に対して行ったプログラムの効果測定について実施することができた。当初の計画では、平成28年度に研究全体の統括と報告を行う予定であったが、そこまでは至っていない。 そこで、平成29年度は研究協力校において、現在実施しているいじめ予防プログラムを継続し、①モデルの修正を行うこと、②協力校のいじめ場面・課題・リスク要因の検討、③児童生徒へのいじめ予防プログラムの実施・効果測定の継続、④教師の意識・行動変容の効果測定を実施して、研究の統括をする。具体的には、平成29年度の前半において、教師へのインタビューを実施して教師のいじめに対する意識の変容をとらえ、研究協力校での実践とその効果について学校心理学研究に実践研究として報告する。また、英国マンチェスター大学で開催されるISPA(International School Psychology Association) Conferenceに参加し、参加者と具体的な情報の交換を行う。さらに平成28年度後半では研究全体の統括と報告として、学校心理学会第19回大会及びNational Association of School Psychologistの大会でポスター発表を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の所属機関がかわったことのことに伴い、予定していた研究協力校への定期的な訪問ができなくなり、平成26年度、平成27年度ともに研究に遅れが生じていた。そのため研究協力校の実践と調査に遅れが生じ、平成28年度に予定していたNational Association of School Psychologistの大会でのポスター発表のために使用する予定であった交通費・宿泊費・参加費等を使用することができず、次年度の使用額が生じることになった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年7月にイギリスで行われるISPA(International School Psychology Association)Conferenceに参加し、いじめに関する情報交換と各国の情報を収集するための交通費・宿泊費・参加費、学校心理学会第19回大会ポスター発表の交通費として使用する予定である。
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