研究課題/領域番号 |
26381335
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研究機関 | 聖徳大学 |
研究代表者 |
腰川 一惠 聖徳大学, 児童学部, 准教授 (70406742)
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研究分担者 |
河村 久 聖徳大学, 児童学部, 教授 (80532762)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 特別支援教育コーディネーター / 校内体制 / 実態把握 |
研究実績の概要 |
本年度は、日本特殊教育学会に小中学校特別支援教育コーディネーターが認識する校内体制の成果と課題としてポスター発表を行った。そこでは、A地域内の公立小中学校のコーディネーターを対象として、コーディネーターの自由記述からコーディネーター自身の校内における成果と課題に関する認識の検討を行い、コーディネーター自身が文部科学省(2004)で示された役割を校内で実践した成果として認識していることが示された。一方で、成果と類似した内容が課題であることも明らかになった。校内体制や連携が児童生徒の支援に有効に結びつくためにコーディネーターがどのように役割を果たすのかという点に課題があることが示された。 また、1年間通して、公立小学校におけるコーディネーターの活動について検討した。その途中経過として、コーディネーターが中心となり、進めていた児童の実態把握の現状と課題についてまとめ、日本教育心理学会でポスター発表を行った。そこでは、小学校通常学級の担任教師が児童の実態把握について個別の指導計画にどのようなことを記述しているのか、コーディネーターや心理の専門家を交えた児童の実態把握検討会を行うことにより、実態把握が変化するのかについて検討した。その結果、コーディネーターや心理の専門家が加わることにより、個別の指導計画の記述よりも検討会での発言の項目が増加した。記載された内容は「計算ができない」のように具体的に何の学習課題に躓いているのかを明示していないことが明らかになった。一方で、検討会では、担任教師による児童の具体的な学習課題の発言がなされていることから、心理の専門家や特別支援教育コーディネーター等と実態把握検討を行う中で、担任教師が具体的な課題に目を向けることが可能であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、特別支援教育コーディネーターの自由記述から、校内における成果と課題を分析し、日本特殊教育学会でポスター発表を行った。その結果、小・中学校の特別支援教育コーディネーターが校内で実践できた成果と課題を示すことができた。 また、小学校における特別支援教育コーディネーターの具体的な実践について参与観察を行って。その経過は日本教育心理学会に発表し、校内における特別支援教育コーディネーターの具体的な実践とその課題について整理することができた。 28年度より研究協力者が参加している特別支援教育コーディネーター研修において、参加している特別支援教育コーディネーターを対象にして研修に対する調査を行った。これらの検討から、特別支援教育コーディネーターの実践と課題が明らかになり、今後の特別支援教育コーディネーターのカンファレンス研修に向けた結果が得られ、当初計画していたように、順調に研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
29年度は、28年度に実施した特別支援教育コーディネーター研修に参加したコーディネーターを対象とした調査の結果を示し、学会発表および論文として投稿する予定である。また、校内における特別支援教育コーディネーターの実践経過を実践研究として投稿する予定である。 また、これまで明らかにしてきた特別支援教育コーディネーターの実践と課題を基にして、カンファレンス形式の研修プログラムを作成する。カンファレンス研修については、研究分担者がアドバイザーとして参加している自治体において実施する予定である。そこで参加した特別支援教育コーディネーターを対象として研修プログラムの効果を検証する。その結果を受けて、カンファレンス研修のプログラムと評価基準についてまとめていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
特別支援教育コーディネーターに対する大規模調査を予定していたが、規模を縮小した。そのことから、郵送料や分析アルバイト謝金の予算が執行されず、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、28年度の成果について学会発表(名古屋市で2回)を行う予定であり、学会発表参加費および出張旅費が必要になる。また、特別支援教育コーディネーター研修会を行うため、研修会に参加するための旅費を申請する予定である。コーディネーター研修会に参加したコーディネーターを対象とした効果検討を行うための調査を行うことから、調査用紙の配布と回収に郵送費が必要である。調査結果の入力および分析にアルバイトを雇う予定である。
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