研究課題/領域番号 |
26381338
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
本田 恵子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (50317674)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 特別支援教育 / ソーシャルスキル / 規範意識の育成 / 葛藤の調整 / 制御機能 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、子どもの葛藤場面の現状分析に基づいて「なっとくして」行動を止める要素を抽出することが目的である。 1現状分析のためのインタビューおよびアンケート調査について:小学校、特別支援学校・通級学級の教員に対してアンケート調査を実施し、子ども達が欲求が通らない場面で「なっとくして行動を収める場面」と「なっとくできない場面」の要因分析を行った。その結果、自分の内的欲求を調整するためのりくつと、外的な要求(自分がやりたいことを止められる、やりたくないことをやらせられる等)を受け入れるためのりくつの二つが段階別に必要なことがわかり、理論敵基礎を作成した。 2 アメリカの特別支援教育におけるソーシャルスキル教材の動向調査は、研究協力者によって実施し、以下のことが明らかになった。1)包括的なソーシャルスキル教育プログラムや教材が定着している(90分を8-10回実施、同世代との協同作業、課題解決、アンガーマネージメント、アサーション、対話術、および結果を受け入れる等のスキルを学ぶ)。最後の「結果を受け入れる」スキルはこれまで注目されておらず、本研究が目指す「なっとくのりくつ」と共通している要素である。結果を受け入れるためにの方略は現段階では社会規範が多く、文化背景によるモラルの違いを理解したプログラムを作成するために、社会規範の発生について動物学的およびモラル研究の二面で行われていることが文献研究から明らかになった。 3 課題場面のイラスト作成および判断根拠の要素の策定:1.2から日本人としての「なっとくのりくつ」の発達理論を作り、5段階に対して各4場面筒の20場面を策定し、イラスト作成に入った。刺激の場面、葛藤が起きる場面、「なっとくのりくつ」を使って行動調整をする場面、望ましい解決になる場面の4コマ構成とした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度目標のアンケート調査、要因分析、イラスト場面の作成の3項目は順調に進んでいる。一部、変更したのは、当初予定していた5項目の分類がアンケート調査からは一部にのみ問題行動が多く出現することがわかったため、「なっとくのりくつ」の内容の配分率を分けることにしたことである。
|
今後の研究の推進方策 |
計画部分:平成27年度は4月~8月には試作教材を協力児童・生徒に実施して発達障害のタイプ別にどの判断基準を使いやすいかのデータを収集する。実践は、都内の協力学校とNY日本人学校および研究協力者が担当している教育相談室内にて行なう。カード式教材のみを使用する群と移動式電子黒板と融合させた形で使用する群に分けて効果を比較する予定である。8月~11月にデータ分析を行い、12月~平成28年3月イラスト、文言、カード分類の修正を行なう。カード内容は、PCソフトに変換してゆく。第二段階における効果測定は、教員と児童・生徒両方に行う。教員にはそれぞれの児童・生徒がどの判断基準をSST中にどの程度使えたかを評価してもらうチェックリストを作成する。児童・生徒本人には、内容の理解度と日常で自分がどの程度使っているかについての自己評価、の質問紙、および情緒上の変化の評価を行なう。 変更部分:課題場面の分類から、これまでの道徳の発達理論では説明しきれない感情と認知の関係性について発達障害の子ども達に当てはまる新たなものを策定する必要性が現れた。そのため平成27年度前期は、当初予定していなかったモラルの発生、発達に関する動物学的な研究を加えてる。そのことにより、子どもが規範意識を定着させるための「つなぎ」の理論を策定することが目的である。
|