研究課題/領域番号 |
26381341
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
柳本 雄次 常葉大学, 教育学部, 教授 (30114143)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 特別支援学校分校・分教室 / 交流及び共同学習 / インクルーシブ教育 / 共生・共育 / 地域性・専門性 |
研究実績の概要 |
1.特別支援学校の通常学校における分校・分教室設置の経緯と現状に関して、都道府県の取り組みを把握するため、①各教育委員会の特別支援教育に関する推進・整備計画の内容を分析すること、②全国特別支援学校長会編「全国実態調査」(平成25・26年度版)に基づき分校・分教室を類型化してその特徴を明らかにすることを目的にして、分析した結果をまとめ、日本特殊教育学会第52回大会の自主シンポジウムで話題提供を行い、また常葉大学教育学部紀要に掲載した。 2.静岡県の特別支援学校分校と通常学校との交流・共同学習と連携の実際について、一部の学校を対象に、半構造化面接調査を実施し、研究協力者により前記シンポジウムで報告された。 3.静岡県の特別支援学校分校の共生・共育の実態を、協力校において、学校の体制(授業時間設定、施設・設備の共同利用等)、職員間の理解形成、保護者間の意識、制度上の問題の観点について関係者(管理職、担任教員)の面接を行い、その結果に基づき半構造化面接の質問項目について検討を行った。 4.山形県・埼玉県・神奈川県・滋賀県・大阪府・兵庫県の実地調査については、各教育委員会及び当該学校分校・分教室を対象に実地・面接調査を行った。教育委員会関係者には分校・分教室設置及びインクルーシブ教育への対応の現状と今後の方向性を、また学校関係者には、学校の体制と交流・共同学習や連携の実際を中心に行った。その結果を踏まえ、埼玉県・大阪府・兵庫県に関する内容を前記の紀要に掲載した。 5.日本及び外国のインクルーシブ教育の動向について、文献収集と一部自治体の研究発表会への参加を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インクルーシブ教育の実現に向けて、共生・共育を目指して実践されている事例として静岡県における通常学校に特別支援学校の分校・分教室を設置する取り組みを中心に、その歴史、理念、実態を把握するとともに、他の先進的自治体や外国における取り組みとも比較検討し、インクルーシブ教育のあり方を総合的に検討する目的に関して、26年度の計画のうち、他の先進的自治体の取り組みについては当初の計画以上に進展できた。しかし、静岡県の取り組みに関する研究計画の進行については、研究協力者の異動等もあり、まだ一部の学校にとどまり、面接の実施と実践の分析には十分には至らなかった。また、外国のインクルーシブ教育関係の資料収集はほぼ順調に進んでいるが、分析・考察に十分な時間が取れず、遅れが見られた。これらについては次年度以降、積極的に進める必要性がある。
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今後の研究の推進方策 |
静岡県の特別支援学校分校の実態と課題については、研究協力者を増員して協力校を拡大し、当該学校の体制(授業時間設定、施設・設備の共同利用等)、職員間の理解形成、保護者間の意識、制度上の問題の観点について、半構造化面接を実施するとともに、取り組みの継時的な変化も把握する。先進自治体の取り組みについてはさらに実地・面接調査を継続させる。外国の資料分析を協力者と会議を定期的に開催して進める。27年度も学会での自主シンポジウムを開催する予定で、研究協力者との連携強化を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
静岡県の特別支援学校の共生・共育の実態について研究協力者と共同で面接調査を行う計画を立てていたが、人事異動等もあって十分に実施できず、それに用意した人件費・謝金、旅費等が執行できなかった。また、研究協力者の学会発表での旅費が本人負担となったこと。外国のインクルーシブ教育についての資料分析を定期的に実施できなかったこと。
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次年度使用額の使用計画 |
静岡県の特別支援学校分校の実態については、研究協力者を増員して協力校を拡大し、半構造化面接を実施するとともに、取り組みの継時的な変化を把握することにする。そのための旅費と人件費にあてる。さらに、先進自治体の取り組みについての実地・面接調査を比較的遠方の東北地区と九州・沖縄地区で実施する計画で、その旅費等にあてる。昨年できなかった外国のインクルーシブ教育関係の資料分析を協力者と定期的に研究会を開催して進める。
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