研究課題/領域番号 |
26381346
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研究機関 | 藍野大学 |
研究代表者 |
若宮 英司 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (20426654)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 計算障害 / 二分脊椎症 / 低出生体重児 |
研究実績の概要 |
1.26年度に引き続き、学童の視空間認知、言語能力、記憶、自動化能力が数概念、計算技能へおよぼす影響と、計算障害と読み書き障害の併存状況を調べた。小学校1~6年生の、計算その他の学習困難を主訴とする正常知能の児童60名あまりを対象に、WISCⅣ、特異的発達障害 診断・治療のための実践ガイドライン(診断と治療社)の計算課題、ひらがな読字課題、数の量的把握、小学生のための読み書きスクリーニング検査(STRAW)、PVT-R絵画語い発達検査(日本文化科学社)、聴覚記憶、Rey’s Auditory-Verbal Learning Test(AVLT)、Rapid Automatized Naming Test(RAN)、視覚関連基礎スキルの広範囲アセスメント(WAVES)、 読みの包括的領域別アセスメント(CARD)を行い、基本的なアカデミックスキルと関連認知の検討をした。昨年度の二分脊椎症+水頭症の子どものデータ採取に引き続き、今年度は極小未熟児を対象としたが、知能低下を伴う場合が多く採取データは未だ数名にとどまっている。28年度もデータ収集を続ける。 2.通常学級に在籍する小学生を対象に、日本LD学会で開発中のSKAIP(Screening Kit for Academic Intervention Program)の計算検査を用い、数的事実と計算手続きの速度と正確性を測定し、標準学力検査NRTの算数成績との相関を検討した。結果を28年の第58回日本小児神経学会で発表する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
論文の作成が遅れている。今年度中に「計算障害における数的事実と計算手続きの速度と正確性」「二分脊椎症患児における、計算障害と読み書き障害」「数的事実と計算手続きの速度と正確性の算数成績に対する影響」の3つについて論文化する。 Rey’s Auditory-Verbal Learning Test(AVLT)の標準値をとる予定であったが、検査が煩雑なことから、学校や児童の協力が得にくく頓挫している。今年度中に施行できる目処が立ちにくいため、この目的は諦め、海外も含め文献に標準値を求めるか、群間比較に用いるにとどめるものとする。
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今後の研究の推進方策 |
1.これまでの検討で、計算速度の低下が計算技能の発達にとって重要であることが判明している。計算困難を有する児童を対象に、計算速度の改善を目的とした訓練方法を開発し、その有用性を検討する。訓練は数的事実の計算速度のみをターゲットとするものとし、その後、数的事実と計算手続きの速度と正確性に対する影響を検討する。 2.数概念と視空間認知の関連性を明らかにすることは本研究の目的の一つであるが、数概念の検査方法が不十分であるために明確な所見を得難い。数概念に対する検査、具体的には5までの数を目視把握する能力のPC検査を新たに作成し、その有用性を検討する。 3.26、27年度に引き続き、学童の視空間認知、言語能力、記憶、自動化能力が数概念、計算技能へおよぼす影響と、計算障害と読み書き障害の併存状況を調べる。今年度は特に低出生体重児の対象数を増やしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
訓練効果の検証と、数概念の新検査の検討が遅れたこと、AVLTの小児標準値をとる作業が頓挫したこと、論文の作成が遅れたことが主な原因である。
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次年度使用額の使用計画 |
訓練効果検証、数概念新検査の検討、論文化は今年度行う。 学習困難児のデータは前年度までに相当数が収集できたので、今年度はそのデータ収集より優先させることで可能と考えている。
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