研究課題/領域番号 |
26381347
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
一ノ瀬 智子 武庫川女子大学, 音楽学部, 准教授 (80388800)
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研究分担者 |
渡部 信一 東北大学, 教育情報学研究部, 教授 (50210969)
奥野 竜平 摂南大学, 理工学部, 教授 (90294199)
松本 佳久子 武庫川女子大学, 音楽学部, 講師 (90550765)
竹原 直美 武庫川女子大学, 音楽学部, 助教 (90707324)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 音楽療法 / 発達障害児 / ICT / 楽器演奏 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、多くの発達障害児が困難を抱える物事の因果関係や順序性の理解を促進することを目的とした音楽療法のためのプログラム開発を目的とする。そのために、視覚、聴覚、身体意識を統合するための楽曲演奏の方法として、バリアフリー電子楽器Cymis(Cyber Musical Instrument with Score)ならびにゲームデバイスKinect(マイクロソフト社)によるシステムを適用する。そのことにより、ICT(情報通信技術)を活用し、楽器演奏を介した音楽療法のプロトコルを構築する。楽器演奏を介した音楽療法のプロトコルを構築することである。 初年の平成26年度には、発達障害児の特徴に合わせた動作や有効な楽曲を明らかにして最適な課題を設定し、その課題設定を可能とするシステムを構築することが目的であった。まずはCymisとKinectによるシステム構築は達成され、設定された動作によって、Cymisによる楽曲演奏が可能であることを確認した。また予備的研究として、健常児に対してシステムを適用したところ、自らの動きによって楽曲が演奏できるという因果関係を子どもが理解し、聴覚的、視覚的フィードバックを楽しみながら演奏できることが分かった。さらに発達障害児によるシステムを用いた演奏を通して、興味関心、およびニーズの個別性が明らかになった。そのことにより、システムをより多様な目的で、発達障害児の個別のニーズに対応して適用可能であることが明らかになり、今後の課題への示唆が得られた。 なお計画では次年度以降に予定していた、複数名による動き(2名によるハイタッチ)による演奏プログラムを開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
システムの構築は達成され、健常児による演奏によって明らかになった楽器演奏の効果や課題にに関しては学会において発表した。当初の初年度計画からさらに進んで、複数名での協同の動作による演奏プログラムの開発に至った。 当初予定していた20名もの健常児への実施は、データ分析のために不必要であることが分かり、少数の事例を基にして検討を進めている。また対象は少数であるが、次年度以降に計画していた発達障害児に対してのシステム適用の段階にまで進展している。
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今後の研究の推進方策 |
データ収集については、音楽療法に参加している発達障害児ととその保護者の協力を得ることにより、個人情報や身体面に配慮しながら可能な範囲で蓄積していく。 またCymisとKinectによる楽曲演奏のシステムを、発達障害児の個別で多様なニーズに即して適用できることが明らかになったため、当初の主な目的だった、発達障害児による物事の因果関係の理解に加えて、より個別のニーズに即した適用とその有用性を検討していく。 なお平成27年度中には、国際学会での発表を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
発注した物品に問題点が見つかったため出荷延期となり、平成26年度中の購入が不可となった。また、健常児を対象としたシステム適用の回数が予定より少なかったため、謝礼費を次年度に持ち越すことになった。
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次年度使用額の使用計画 |
購入予定であった物品の問題点が解決されたとの情報が入り次第、再度購入を進める。
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