研究課題/領域番号 |
26381348
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
国末 和也 広島国際大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (90441154)
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研究分担者 |
佐藤 正幸 筑波技術大学, 学内共同利用施設等, 教授 (50222021)
長南 浩人 筑波技術大学, 学内共同利用施設等, 教授 (70364130)
須藤 正彦 筑波技術大学, 学内共同利用施設等, 教授 (90206566)
津島 靖子 広島国際大学, 総合リハビリテーション学部, 講師 (30710082)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 聴覚障害学生 / 認知処理 / 同時処理 / 継次処理 / CHCモデルに基づく分析 / 言語処理能 / ワーキングメモリー |
研究実績の概要 |
感音難聴の聴覚障害大学生20名、聴者の大学生37名を対象にKABC-Ⅱ検査を実施、認知情報処理特性の検討を行った。聴覚障害大学生には、聴覚的情報入力に制限があるために、本検査では、視覚的提示を聴覚的提示と同時に行い、聴覚的制限をなくしている。Welchによる平均値同等性検定を行った結果、認知検査の、「M3物語の完成(p=.018)」、「M4数唱(p=.000)」、「M9語の配列(p=.036)」、認知尺度として「継次尺度(p=.002)」、習得尺度として「書き尺度(p=.019)」、CHC総合尺度として「短期記憶(p=.002)」に有意差が得られた。また、認知検査の「A6ことばの書き(p=.082)」、「A8文の構成(p=.051)」、CHC総合尺度として「読み書き(p=.060)」に有意傾向がみられた。 有意差が得られた「M4数唱」、「M9語の配列」、「継次尺度」、「短期記憶」については、聴者の大学生の方が高く、「M1物語の完成」、「A6ことば書き」、「A8文の構成」、「書き尺度」については聴覚障害大学生の方が高いという結果になった。 短期記憶に関しては、聴覚障害大学生の言語処理能が要因となり聴者の大学生に比して低い結果になったと考察される。「M11手の動作」も短期記憶に関する検査ではあるが、p=0421であり、有意差はみられない。すなわち、非言語面での短期記憶には両者に差はない。このことからも言語処理能が短期記憶に影響を与えていると考察される。 また、継次処理についても聴覚障害大学生の方が低い結果となっている。連続した刺激を順序よく処理する「継次処理能」は、複数の刺激をまとめて、全体として捉える力「同時処理能」よりも低いという結果となった。18歳6か月~11か月の学生(難聴の大学生20名、聴者の大学生30名)をカウフマンモデル、CHCモデルにより比較しても同様の結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
聴者の大学生については、37名と予定以上の人数を集約している。聴覚障害大学生については20名と検査分析人数としては若干少ない。しかしながら、平成26年度の分析(難聴大学生11名、聴者の大学生13名)とほぼ同様の分析結果が得られている。平成28年度は、18歳6か月~11か月の学生、それぞれ10名程度の検査を実施しまとめをする。 研究最終年度では、両者間の差の検討や18歳6か月~11か月の学生についてのカウフマンモデルとCHCモデルの比較分析が実施できる学生数の集約ができると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、18歳6か月~11か月の学生、それぞれ10名程度のデータ取集(7月~10月)と分析を行い、研究のまとめを実施する。平成28年9月の日本特殊教育学会にて発表をする予定であり、併せて論文にまとめる。 平成28年度が研究最終年度であるので、短期記憶、継次処理、ワーキングメモリーに関してディスカッションを行い、次の研究課題に発展する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究者によって本年度の使用額を抑え、次年度に科研費を有効活用する意図がある。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度の研究に向けて、交付される予算を有効活用を行い、研究をまとめる。
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