研究課題/領域番号 |
26381348
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
国末 和也 広島国際大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (90441154)
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研究分担者 |
佐藤 正幸 筑波技術大学, 学内共同利用施設等, 教授 (50222021)
長南 浩人 筑波技術大学, 学内共同利用施設等, 教授 (70364130)
須藤 正彦 筑波技術大学, 学内共同利用施設等, 教授 (90206566)
津島 靖子 広島国際大学, 総合リハビリテーション学部, 講師 (30710082)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 聴覚障害 / 大学生 / KABC-Ⅱ / 認知情報処理 / 継次処理 / 短期記憶 / 言語力 / 学力 |
研究実績の概要 |
聴覚障害学生の学習や学力を支える認知情報処理機能及び学力に影響を及ぼす障害特性要因を解明することを目的に、聴覚障害学生25名(18歳9か月~11か月、男性16名、女性9名)、聴者の学生40名(18歳3か月~11か月、男性11名、女性29名)を対象に、認知処理能力及び基礎的学力を個別式で測定できるKABC-Ⅱを実施した。 結果、聴覚障害学生は「短期記憶/Gsm」、「継次尺度」に聴者の学生よりも低い傾向がみられた。「数唱」については、視覚提示を併用したが、聴者の学生よりも低い結果となった。「書き尺度」に関しては、聴覚障害学生が評価点は高く、これまで聴覚障害児の語彙力や統語力は低いという報告がなされているが、本研究対象学生に関しては異なる結果が得られた。 聴覚障害は「継次処理」や言語性の「短期記憶」に影響を及ぼす障害特性要因ではないかと推察される。また、本研究対象の聴覚障害学生は、幼少期より言語や生活体験を視覚化或いはシナリオ化することにより事象を記憶する学修を積み重ねた結果、抽象的推論や論理思考に弱さがあるが、聴者の学生と同等の基礎的言語力の習得がなされたと考えられる。 聴覚以外の障害の有無やコミュニケーションモダリティ、教育等の違いが複雑に組み合わさって、聴覚障害児者の認知処理に影響を与えている。また、本研究対象の聴覚障害学生は、大学入試で選抜された学生であるので学力的には統制された群である。先行研究との違いは個々の家庭や教育環境に違いはあるが、学力的に統制された聴覚障害学生群であったからだと考えられる。すなわち、教育環境が保障され一定の学力が保障されると聴者の学生と同様の言語発達過程を経ると考えられる。一方、本研究を通して、聴覚障害学生の「継次処理」、「短期記憶」の課題が再確認され、「継次処理」、「短期記憶」が聴覚障害児の言語・認知発達に影響を与える要因である可能性が示唆された。
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