研究課題/領域番号 |
26381351
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研究機関 | 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 |
研究代表者 |
玉木 宗久 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 情報・支援部, 主任研究員 (00332172)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 実行機能 / 尺度 / 学習 / 行動 |
研究実績の概要 |
本研究は、学校の教員が学習支援に活用できる実行機能評定尺度(Checklist of Executive function: Chef)を開発することを目的としている。 本年度は、平成26年度に実施した予備調査のデータに基づき、Chef(試作版)の信頼性、及び妥当性の分析を行った。その結果、通級指導教室担当教員の190名の回答からは、EFの困難さには少なくとも7つの要素(3つの基本機能と4つの応用的機能)があることが示唆された。また、これらの7つの要素の因果関係のモデルの検討、並びに学習と行動のつまずきとの関係性の検討を通じて、読み、書き、計算などの学習の基礎の側面と、読解や作文、推論などの応用の側面との間では、関係する実行機能の要素が異なっていることも示唆された。さらに、通常学級担任の410名の回答との比較からは、(先行知見とおおむね一致して)EFの困難さは発達障害のある子どもで有意に大きく、また、LD、ADHD、ASDの障害では、EFの困難さのプロフィールが異なっていることが示唆された。なお、分析結果の一部については、学会、及び研修会等で公表した。 本年度は、さらに、このような予備的調査の分析結果を踏まえ、Chefの調査項目の修正を行い、Chefの標準化データを得るための調査を実施した。対象は関東、及び北陸地域における発達障害関連通級のある小学校・中学校約900校。調査票回収率は約46%。通常学級担任約1920名、通級指導教室担当教員約710名から回答を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年10月~平成28年3月に取得した育児休暇のために、研究の実施は大幅に遅れていたが、研究期間の1年延長が認められたことにより(平成30年3月まで)、研究の進捗度は、「おおむね順調」に修正できたと考える。研究成果の公表が若干遅れているので、本年度は、調査データの分析等を効率よく進め、研究成果のまとめの時間を十分に確保できるように工夫する。
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今後の研究の推進方策 |
本年度実施した調査データの入力、集計等の作業を、外部業者に依頼するなどして効率よく進める。本年度は、尺度の活用マニュアル作成等、研究のまとめのための時間が多く必要となるので、可能な限り早い時期に標準化作業をすすめ、尺度の完成版を確定させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年10月―3月までの育児休暇取得により、研究経費の執行が遅れたため。研究の1年延長が認められ、平成29年度に28年度分の研究経費を予定通り執行する。
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次年度使用額の使用計画 |
当初、平成28年度に行う予定であった研究活動を29年度に実施する。
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