中央教育審議会は,「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」において,域内の教育資源の組合せ(以下スクールクラスターと記載)によって,域内のすべての子ども一人一人の教育的ニーズに応えるインクルーシブ教育システムを構築することを示した。 特別支援学校は,センター的機能を発揮し,スクールクラスターと協働することで,域内の複数の学校にとって相互利益をもたらすこと,組織を越えた共通の目標を実現することが求められる。本研究では,「域内の教育資源に求められる目的を達成するための意思決定・行動」を学校間マネジメントと呼び,スクールクラスターの構築に向けた特別支援学校の学校間マネジメントの在り方について提言することを目的とした。 文献のレビュー,海外の事例について調査し,現状と課題等について整理するとともに,全国の特別支援学校を対象としたアンケート調査結果について現状と課題について整理し,関係する学校が協働でのミッション・目標の設定や取組の評価等について先進的に取り組んでいる事例について訪問調査を行った。 その結果,海外において,複数の学校にとって相互利益をもたらすこと,組織を越えた共通の目標を実現する組織作りが進んでいることがわかった。日本においては,多くの特別支援学校が,特別支援教育コーディネーターを中心に小・中学校に支援をしている状況であり,約4割で,スクールクラスターが作られていることを把握している状況にある。 特別支援学校は,小・中学校等との協働によって組織作りを進めている状況があり,今後,地域の実情に応じた支援の在り方が検討され,域内の現状把握,目標設定,その実現のための行動計画の策定,目標に照らした評価などが求められるとともにそれを支える体制作りが一層求められていくものと考えられた。
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