研究課題/領域番号 |
26381353
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研究機関 | 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所 |
研究代表者 |
長谷川 桜子 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 教育福祉学部, 主任研究員 (60326816)
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研究分担者 |
向井 享子 (熊谷享子) 名古屋女子大学短期大学部, その他部局等, 講師 (00721432)
三浦 清邦 名古屋大学, 医学系研究科, 研究員 (90628596) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 共生社会・インクルージョン / 障害 / 計画的行動理論 / 医学教育 |
研究実績の概要 |
心身の発達に障害のある人(障害児(者))が地域で生活していくためには、障害のある子どもの診療を専門的に行える医師や医療機関のみならず、より身近な地域で、また成人後にも各科の診療が受けられるよう、一般の医師の役割も重要である。しかし現状では時間的な制約等から医学教育に障害児(者)への医療に関する情報は必ずしも含まれておらず、診療にとまどいや抵抗感をもつ医師は少なくない。我々は意図的行動の生起を説明・予測する『計画的行動理論』を用いて、障害児(者)医療に関する比較的短時間の実習にも障害児(者)を分け隔てなく診療する行動の生起可能性を高める効果があるか、効率的な教育はどのようか検討した。 医学科5年生に、障害児(者)専門医療機関における見学、講義、患者および家族との面談等で構成した1日間の臨床実習の前後に、計画的行動理論に基づき作成した障害児者を分け隔てなく診療する行動に対する考えを問う質問紙(7段階評定)の記入を求めた。この回答を構造方程式モデリングの手法を用いて分析した。 結果、障害児(者)を分け隔てなく診療する行動の前提となる「意図」の強さを規定する3要因(態度、主観的規範、コントロール感)のうち、行動に対する個人的な「態度」や、社会的要請の強さの認識等を反映する「主観的規範」以上に、行動の実行可能感や難易感を反映する「コントロール感」が、意図の強さに大きく影響していた。これは実際に経験させたり、それを通して自信を持たせる教育が、障害児(者)を分け隔てなく診療する行動の生起可能性を高めるのに特に重要なことを示すものと考えた。また、実習前に比べ実習後にすべての因子平均が上昇しており、比較的短期間の実習にも、障害児(者)を分け隔てなく診療する行動を一定程度促進する効果があることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
安定した多変量解析結果を得るのに想定以上のサンプルサイズが必要だったため、データ収集期間を延長した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で観察された「意図」に対する「コントロール感の」影響の大きさが、一定程度の「態度」や「主観的規範」を前提とするのか否かを、これらの点数が比較的高い/低い回答者の比較等から検討したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
より信頼性の高い結果を得るためデータ収集期間を延長し、最終成果報告を先延ばしした。
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次年度使用額の使用計画 |
成果発表(学会参加、論文作成)に使用する。
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