研究実績の概要 |
ナノ空間を原子レベルで可視化する透過型電子顕微鏡の暗視野(Annular Dark Field: ADF)像とその電子状態を得られる電子エネルギー損失スペクトル法(Electron Energy Loss Spectroscopy: EELS)を利用し,画像とそのエネルギー状態を高速で連続的に測定するインターフェース開発をソフトウェアベースで行った.電子顕微鏡は日本電子製低加速対応透過型電子顕微鏡JEM-2100Fを用い,それに取り付けたGatan社製Quantumを画像取り込みの検出器として使用した.制御ソフトはGatan Microscopy Suite (GMS) ver. 2.2以降に準拠したScript により,加速電圧 (15) 30, 60 kVにそれぞれ対応したADF像を連続で取得すると同時に,それぞれの画像に対応したEELSデータを連続で取得するScript を独自に作製した. この ADF-EELS高速取得ソフトにより,有機分子集合体とその水和物が電子線により構造変化を起こす様子とそこに含まれる炭素や酸素といった固有の元素の変化を同時に取得することが可能となった. 一方,市販のシステムを利用した単原子のSTEM-EELS測定においては,グラフェンに架橋された炭素鎖の原子一つ一つを可視化すると同時に,その電子状態をそれぞれの原子から取得することに成功し,第一原理計算からその構造と電子状態に対して解釈を行った.
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