研究実績の概要 |
1.La2CuO4ナノスケール微粒子のESRおよび磁気測定およびデータ解析 昨年度までに27nm径の微粒子について非常に大きなg値をもつ超常磁性が観測されたことを報告した.28年度は,粒径サイズが異なる微粒子についても同様な磁性が発現するかどうかを確認した.31nm径のLa2CuO4ナノスケール微粒子のESRおよび磁気測定を行った.磁気測定では,超常磁性が観測され,データ解析の結果,S=1/2, g=6の磁気モーメントによる磁性であることが判明した.ESR測定からは,前回と同じく4つのスペクトルが観測され,主成分としてS=1/2, g=6のスペクトル成分が存在することが確認された.よって,非常に大きなg値をもつ超常磁性の磁気モーメントが粒径サイズによらずに存在することが明らかになった. 2.Mn3O4フェリ磁性ナノ粒子およびその他の磁性微粒子における磁気サイズ効果 La2CuO4ナノスケール微粒子の比較対象物質としてフェリ磁性体Mn3O4のナノ粒子において磁気サイズ効果を調べた.サイズの減少に伴うフラストレーション効果の低下が磁気秩序転移温度がバルクよりも高温側にシフトするという特異な磁気サイズ効果が明らかとなった.また希土類マンガン酸化物GdMnO3ナノ粒子の磁気サイズ効果の研究を遂行した.10~20nm径のGdMnO3ナノ粒子を作成し,その磁性と結晶構造を調べた.超常磁性のブロッキング温度は通常サイズを小さくすると降下するが,GdMnO3ナノ粒子は逆に上昇するという特異な磁気サイズ効果が明らかとなった.さらにLa2CuO4ナノスケール微粒子の比較対象物質として銅酸化物超伝導物質のYBa2Cu4O8微粒子における磁性を調べた.特異な磁気グラス相を調べて低磁場下での磁場ー温度相図を明らかにした.
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