軟X線を用いた内殻電子励起によって原子レベルで局所的に電荷を発生させることができる。そしてその電荷の緩和は、内殻励起ダイナミクスに反映されると考えられる。本研究では分子鎖の導電性が異なる自己組織化単分子膜(SAM)を用いて、内殻励起によって放出されるオージェ電子と脱離イオンを計測し、新たに考案した定量的な解析手法を用いて評価した。そして有機分子内の電荷移動が、内殻励起によるオージェ崩壊や選択的結合切断反応に反映されていることを検証し、その相関性を確認することができた。本計測手法が、軟X線を利用した有機分子の非接触な電荷移動ダイナミクス計測法として有用であることを示唆している。
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