研究課題/領域番号 |
26390021
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
柳下 崇 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (50392923)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 陽極酸化ポーラスアルミナ / スルーホールメンブレン |
研究実績の概要 |
H27年度は,下記に示す項目について検討を行った. 1)円筒状ポーラスアルミナスルーホールメンブレンの形成 昨年度までに,平板Alを用いた検討を進め,平板形状のポーラスアルミナスルーホールメンブレンの高スループット形成が可能であることを明らかにした.本年度は,この検討結果にもとづき,陽極酸化に用いるAl材の形状を様々に変化させることで,三次元幾何学形状を有するポーラスアルミナスルーホールメンブレンの高効率形成について検討を行った.具体的には,Alパイプを出発構造として用いることで,パイプの内側に形成されたポーラスアルミナの剥離処理が可能であることを示した.この結果,クラックのない,円筒状アルミナスルーホールメンブレンが同一のAl材から繰り返し形成できることを示した 2)本研究では,高濃度硫酸浴中で形成された陽極酸化アルミナ層が高い溶解性を示すという性質を利用してポーラスアルミナスルーホールメンブレンの繰り返し形成を実現している.ここでは,高濃度硫酸浴中で形成されたポーラスアルミナが示す高い溶解性の原因を明らかにするために,熱分析,XPSによる元素分析,アルミナの溶解速度について詳細に検討した.その結果,高濃度硫酸浴中で形成されたポーラスアルミナ層には皮膜中に多量の硫酸アニオンを取り込んでいることが確認され,その結果として高い溶解性を示すことが明らかとなった.また,皮膜中に取り込まれる硫酸アニオンの量は,用いる硫酸電解液の濃度に対して直線的に変化することも確かめられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究当初の計画が順調に遂行されているため.
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今後の研究の推進方策 |
下記の項目に関して検討を進める. 1)ポーラスチタニアのほか,Al以外の金属を用いて形成された陽極酸化ポーラス皮膜の剥離及びスルーホール化 2)得られたスルーホールメンブレンの濾過膜への応用
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次年度使用額が生じた理由 |
H27年度に購入を予定していた陽極酸化電源をH28年度の購入に変更したたことなどにより,研究計画にある使用額と実際の使用額に差異が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
H28年度は,H27年度に導入予定であった直流電源を購入し,円滑な研究推進を図る.
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