研究課題/領域番号 |
26390022
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
古賀 智之 同志社大学, 理工学部, 教授 (10388043)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ペプチド / 自己組織化 / ハイドロゲル / 時限性 / ナノバイオ材料 |
研究実績の概要 |
本研究では、人工ペプチドの自己組織化現象とフォールディング現象を巧みに制御することで、特定の限られた時間のみネットワーク状態を維持する新規機能性ゲル(時限性ハイドロゲル)の開発とその応用を目指している。本年度得られた成果を以下にまとめる。 (1) 自己組織性ペプチドユニットのさらなる拡張を目的に、前年度までに合成した三分岐型コラーゲン様ペプチド(CMP)に加えて、ペプチド鎖の一部に様々な疎水性アミノ酸(Ala, Val, Ile)または水素結合性アミノ酸(Gln)を導入した12種類の新規CMPの合成に成功した。また、各CMPの希薄濃度条件下における水中での高次構造特性(三重らせん構造の形成能、熱安定性およびその可逆性)を明らかにした。 (2) 高濃度条件下における各種CMPの自己組織化構造を明らかにした。TEMおよびSEMを用いたナノ構造解析より、これらCMPはゲル状態では多分子間三重らせん形成に基づくナノファイバーのネットワーク構造(バンドル化)を形成しており、ゾル化に伴い球状構造へと大きくモルフォロジーが変化することがわかった。すなわち時間経過により自己集合形態が自発的にスイッチすることを明らかにした。 (3) レオロジー測定から各種CMPの形成するハイドロゲルの物性(粘弾性および時限性)を詳細に評価した。CMPの分子構造(三重らせん形成能と安定性の相違)やペプチド濃度によって、貯蔵弾性率やゾルへの転移時間が異なる様々な時限性ハイドロゲルを調製できることがわかった。また、ゲルの粘弾性や時限性に及ぼす温度の影響についても明らかにした。テーラーメイドなゲル設計のためのCMP分子構造に関する重要な知見を蓄積することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に引き続き、自己組織性三分岐型CMPユニットのさらなる拡張 (各種疎水性アミノ(Ala, Val, Ile)導入型、および水素結合性アミノ酸(Gln)導入型)に成功し、それらの水中での高次構造特性およびゲル特性に関する知見を得ることができた。また、ゲルおよびゾル状態における自己組織化ナノ構造も明らかになった。本ペプチド分子集合システムの体系化を目的とした時限性ハイドロゲルのゲル物性と分子構造の相関性も明らかになりつつあり、次年度以降に予定している計画を順調に進めていくことが出来る。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、平成28年度は本システムの体系化を念頭に、各種CMPハイドロゲルの詳細な物性評価(時限性やインジェクタブル性、粘弾性)およびゲル物性に影響を及ぼす分子構造因子の特定を引き続き進めていく。また、時限性ハイドロゲルのバイオ材料への展開として、タンパク質/低分子薬剤モデルの徐放特性評価、細胞足場材料への応用性についても検討していく。
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