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2016 年度 実施状況報告書

走査トンネル顕微鏡を用いた時間分解磁気円二色性スペクトルナノ顕微鏡の試作

研究課題

研究課題/領域番号 26390027
研究機関滋賀医科大学

研究代表者

目良 裕  滋賀医科大学, 医学部, 教授 (40219960)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード走査トンネル顕微鏡 / 磁気円二色性分光 / ナノ顕微分光
研究実績の概要

本研究では、3次元空間でナノスケールの分解能を持ち、時間空間でピコ秒の分解能を持つ走査トンネル顕微鏡(STM)とスーパーコンティニュアム光パルスを基にしたナノ顕微光吸収分光法に、磁気円二色性分光法(MCD)を組み合わせ、試料のスピン情報を含む電子構造を空間的に高分解能で、かつ時間分解して測定可能な新しいナノ顕微分光装置の開発を目的としている。測定系構築の一環として、平成28年度は以下の項目を行った。
1.真空度及びコントロール系の安定度が不足していたSTMの空間分解能を確認するため、HOPG上に分散させたカーボンナノチューブ試料のSTM測定を行い、ナノスケールの空間分解能があることを確認した。
2.フェムト秒レーザーの調整を行い、不具合を解消し、フェムト秒レーザーを光源とする円偏光変調光学系を構築した。
3.ガリウム砒素に対して通常のMCDシグナルが出ることが知られている波長である、800 nmのフェムト秒レーザーを光源とする円偏光変調光学系を用いて、真空内で劈開したガリウム砒素清浄面試料に対して、円偏光変調光照射によるトンネル電流変調信号の測定を行った。円偏光変調に同期した成分が測定されたが、これがMCDによるものか現在検討中である。
4.得られたシグナルがMCD由来かどうかを判断しやすいように、磁場を in-situ で印加できる機構を前年度に設計したが、この機構は実現のための予算が過大であったため、一部自分での工作を前提とした、低予算で実現可能なin-situ磁場印加機構の再設計を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

第一、第二年度での走査トンネル顕微鏡、およびフェムト秒レーザーの不具合と、その調整に時間がとられたこと、また今年度、in-situ磁場印加装置の再設計が必要になったことによって全体的に研究が遅れている。

今後の研究の推進方策

今後は以下のように研究を進めていく。
1.in-situ磁場印加機構の作成及び実験系への取り付け:再設計した磁場印加機構を自分での工作を含め作成し、超高真空STM装置に取り付け、調整を行う。
2.MCD信号を検出するのに、ポンプ光とプローブ光の円偏光を切り替えたポンプ・プローブ法を用いると検出感度が向上する可能性があり、時間分解測定にもつながるので、フェムト秒レーザーの遅延光学系を構築して、ポンプ・プローブ・円偏光変調光学系を構築する。3.構築した光学系を用いて、800 nmを中心とするフェムト秒レーザーで可変できる範囲の波長でSTM-MCD測定を行い、スペクトルが測定可能であることを示す。
4.非線形光ファイバを通したスーパーコンティニュアム光パルスを光源に用い、分光器を用いて前項より広い波長範囲でSTM-MCD測定を行う。
5.フーリエ変換光学系を通したスーパーコンティニュアム光パルスを用いたSTM-MCD測定を試み、時間分解測定が可能であるか、調べる。

次年度使用額が生じた理由

全体的な研究計画の遅れ、および in-situ磁場印加装置の再設計が必要になったことに伴い、支出が次年度にずれ込んだ。

次年度使用額の使用計画

再設計した in-situ磁場印加装置の作成、およびポンプ・プローブ実験のためのパルス遅延光学系構築の費用に使用する。

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公開日: 2018-01-16  

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