交流バイアス下では接点の電流誘起破断の駆動力が時間平均されて弱まり,安定性が向上する.この交流効果を,Au単原子接点を対象として検証した.最初に交流破断電圧を100 kHzまでの周波数域で測定したが,破断電圧は直流の場合よりも低く,交流効果は観測されなかった.これはバイアスの増加とともに電極原子のホッピング頻度が増加し,交流による時間平均効果が効かなくなるためである.そこでバイアス振幅を低く抑え,1 MHzの交流バイアス下でAu単原子接点の寿命を測定する実験を行った.しかし低バイアスでは電圧/電流の影響は小さいためか,接点寿命分布は直流の場合と異ならず,交流の効果は認められなかった.
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