研究課題/領域番号 |
26390031
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研究機関 | 豊田工業大学 |
研究代表者 |
本山 幸弘 豊田工業大学, 工学部, 教授 (20283492)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 炭素ナノ繊維 / 金属ナノ粒子 / 窒素ドープ / 水素化反応 / 活性炭 |
研究実績の概要 |
金属粒子担持炭素材料は,有機合成用触媒,電極材料や水素センサ等のデバイスとして実用化の領域に達しているが,次世代の基盤技術とするためには金属粒子と炭素材料双方の精密な構造制御法を確立する必要がある.特に有機合成用触媒は,容易な回収・再使用や稀少資源の有効利用といった元素戦略の観点から,現代の環境調和型製造プロセスを開発する「鍵」となっている.本研究では,電子構造制御を基盤とした次世代ナノ炭素材料の合成法を確立し,分析化学と精密有機合成化学の両面からCNFの表面ナノ構造と触媒機能の相関を解明する基礎科学研究,および実践的なもの創りを達成しうる高機能を有した不均一系担持触媒を開発する応用研究を平行して推進すると共に,新たな担持型金属ナノ粒子触媒の設計指針を提供することを目的としている. 平成27年度では,窒素ドープ型炭素材料としてヘリングボーン型炭素ナノ繊維(N-CNF-H)おいて,昨年度合成に成功した窒素含有量が4-5%,9-10%のものに担持したパラジウムと白金ナノ粒子の構造解析,反応面では,これも昨年見出したPd担持N-CNF-Hのベンジル位の水素化分解抑制機能,およびアミド化合物のヒドロシラン還元機能についての詳細な検討を行った. 構造解析では,Pd, Pt共に窒素/金属比が向上すると平均粒子径が小さくなり,かつ,分散度が狭くなることを明かにした.反応面では,水素化分解抑制機能において,一般の担持型Pd触媒と異なる特異な官能基選択性があることを見出した(現在,論文作成中).また,アミド還元では,担体から遊離したコロイド状金属種が反応活性種であることを詳細な反応機構解析から明かにした(現在,論文投稿中).さらに,担持型Pd触媒に別の金属種を添加することで,その協奏効果によりこれまで還元できなかったエステル類の部分還元反応が進行することを見出した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の中核を担う修士学生3名のうち,水素化を担当していた1名が諸般の事情により中途退学して就職したことから,水素化反応に関して多少遅れていると考えている.また,シラン還元については新規反応を見出したが,反応機構が当初の想定と異なっていたため,その解明に時間を要してしまった.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は在籍学生が4年生を含めて3名しかいないこと,また本課題が最終年度であるため,水素化分解抑制触媒ならびに異種金属複合触媒系において,1)ドープ窒素および金属の協奏効果による反応の適用範囲の検証,ならびに2)ドープ種によるナノ粒子の電子構造制御機構の解明,の2点に焦点を絞って研究を遂行していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
予算の執行額は,おおむね予定通りである.
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度の残額は少額であるため,平成28年度は当初の予定通り執行していく.
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