研究課題/領域番号 |
26390034
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
韓 成雄 京都大学, 再生医科学研究所, 助教 (90565459)
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研究分担者 |
安達 泰治 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (40243323)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 生体分子 / ナノメカニクス / アクチンフィラメント / アクチン結合タンパク質 / 原子間力顕微鏡 / 相互作用 |
研究実績の概要 |
本研究では分子・細胞レベルにおける力の感受・制御機構の解明を目指した新たな生体分子ナノメカニクス計測技術の開発を目的とした.初年度は原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)を用いて、力学的因子の影響によるアクチンフィラメントとアクチン結合タンパク質の相互作用変化の測定を行い、アクチンフィラメントの曲率依存的なArp2/3との相互作用変化の測定に成功した. 曲率を有するアクチンフィラメントを再現するため,フォトリソグラフィーにより波状基板を作製し、酸化グラフェンを介して、アクチンフィラメントを化学修飾した.この波状基板上のアクチンフィラメントに対して、Arp2/3固定化AFM探針によりフォーススペクトロスコピーを行うことで,曲率を有するアクチンフィラメントとArp2/3の結合破断力を計測した.同様の実験を平面基板上で行い,それぞれの結合破断力をヒストグラム化し,結合破断力の平均値を求めた.波状基板上のアクチンフィラメントの曲率と相互作用の変化を計測した結果、アクチンフィラメントの曲率によって、最大3倍くらい結合破断力の平均値が上昇することが分かった.曲率を有するアクチンフィラメントは,曲率を有さないアクチンフィラメントと比較し,Arp2/3との結合を破断させるのに,より大きい力を要することが明らかとなった.本研究結果により,アクチンフィラメントとArp2/3の相互作用は,アクチンフィラメントの曲率依存的に変化することを定量化することに成功した. AFMを用いた本測定手法は,力学的因子によるアクチンフィラメントとアクチン結合タンパク質の相互作用変化の測定に非常に有用であると考えられる.また,本測定手法は,様々な力学的因子、および生化学的因子による相互作用変化の測定に応用出来ると期待している.
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