研究課題
ヒトの体内で重要な働きをするタンパク質の多くは、濃度を~μMにまで高めないと、効果的にリガンドと結合して特異的な機能を発現することができない。しかしながら、従来の1分子蛍光イメージング法では、このような高濃度条件下で目的の1分子だけを可視化することは不可能であった。そこで、改良型ゼロモード導波路(ZMW)と蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)とを融合した新しいリアルタイム1分子蛍光イメージングを開発することを目的として以下の実験を進めた。(1)モレキュラービーコン(MB)を用いたDNA折り畳みの1分子蛍光イメージング: 平成26年度の成果(FRET効率が低下しないZMW構造設計)を基盤として問題点(MBの開閉制御性)の改良に取り組んだ。溶液を含ませたZMWの温度(室温~100℃)を構築し、制御温度に対するMBの開閉とFRET計測を行った。温度上昇に伴うFRET効率の低下が知られているが、1分子計測の問題になるほどではなかった。温度によるMB開閉の制御性について、ハイブリダイゼーションによる開閉制御性(平成26年度実施)に比して優位性は見られなかった。(2)インフルエンザ由来のエンドヌクレアーゼがDNAに結合・DNAを切断・DNAから解離する素過程の1分子蛍光イメージング: ZMW内に固定した1本鎖DNAの末端とエンドヌクレアーゼとをそれぞれCy5とGFPとで蛍光標識し、2色の1分子蛍光イメージングを実施した。(1)で構築した温度制御系により、ZMWに固定されたDNAの切断に対する活性を1分子レベルで定量的に評価した。1本鎖DNA切断に伴い、GFP修飾エンドヌクレアーゼ由来の蛍光を検出することにも成功した。
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