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2015 年度 実施状況報告書

受胎率向上を目指す体外受精卵培養マイクロシステムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 26390039
研究機関東海大学

研究代表者

木村 啓志  東海大学, 工学部, 准教授 (40533625)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードマイクロデバイス / 生殖補助医療 / 体外受精
研究実績の概要

本研究は、生殖補助医療における体外受精の受胎率・出生率向上を目指して、受精操作や培養操作などの複数の機能をマイクロデバイスに集積化し、タイムラプス観察システムと統合することで、高品質な受精卵を作製・管理しながら移植可能な胚盤胞までの発生を促すことのできる体外受精操作統合型プラットフォームの実現を目的としている。平成27年度は、前年度中に開発した精子選別機能を有する体外受精用デバイスの機能評価を中心に研究を推進した。具体的には、マウス精子および卵子を利用して、1)精子選別機能、2)媒精(体外受精)機能、3)受精卵培養機能の各機能について、個別に評価を実施した。1)精子選別機能の評価では、本デバイスを用いた場合と従来法である試験管を用いたスイムアップ/スイムダウン法によって精子選別した場合について、それぞれ得られた精子の運動率や形態異常、精子濃度の検査を実施した。この結果、本デバイスによって従来法と同等の精子選別機能を実現できることを確認した。2)媒精機能の評価では、本デバイスの媒精チャンバ内と従来法であるドロップレット内で媒精を実施した結果、デバイスでの受精率は80%を超え、有意差はないものの従来法を上回る傾向があることが示唆された。3)受精卵培養機能の評価では、ドロップレット法で作製した受精卵を、デバイスの培養部に配置して胚盤胞期まで培養し、従来法と発生率を比較したところ、従来法と同様、90%以上の胚盤胞発生率を得られることが分った。これに加えて、受精卵の品質の指標となる胚盤胞の細胞数を調べたところ、従来法との差違はなく、本デバイスを用いて受精卵を良好に培養できることが示唆された。これらの機能検討に加え、タイムラプス装置にデバイスを集積して培養中の受精卵の発生過程を観察するシステムの構築にも着手した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

大きな問題は無く、おおむね研究計画通りに研究が進展している。

今後の研究の推進方策

平成28年度では、これまでに構築した体外受精操作統合型システムの総合的な機能評価を実施する。具体的には、平成27年度までに個別に評価してきたマイクロデバイスの各機能を総合的に活用して一連の受精卵作製操作を実施し、本システムを用いることで、本研究で目指す高品質受精卵が実現できているかどうかの検討を行う。この機能評価では、マウス精子と卵子を用いて、精子選別→媒精→受精卵培養を連続的に実施し、最終的に胚盤胞の品質評価を実施する。胚盤胞の品質評価には、形態判定の他、細胞数や移植試験なども実施する予定である。これらの検討を通じて本研究で提案するシステムの有用性を示す。

次年度使用額が生じた理由

おおむね計画通りに研究を遂行できているが、マウスの納期の関係で年度末に予定していた体外受精実験を実施することができず、マウス生体費用および関連消耗品費が次年度繰越となってしまったため。
なお、この実験が実施できなかったことによる研究実施計画への影響はほとんどない。実施できなかった実験は次年度に速やかに実施する予定である。

次年度使用額の使用計画

主にデバイス評価実験に使用するマウス、および受精卵培養関連消耗品の購入のために使用する予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Long-term ex vivo maintenance of testis tissues producing fertile sperm in a microfluidic device2016

    • 著者名/発表者名
      M. Komeya, H. Kimura, H. Nakamura, T. Yokonishi, T. Sato, K. Kojima, K. Hayashi, K. Katagiri, H. Yamanaka, H. Sanjo, M. Yao, S. Kamimura, K. Inoue, N. Ogonuki, A. Ogura, T. Fujii, T. Ogawa
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 6 ページ: 21472

    • DOI

      10.1038/srep21472

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] マイクロ流体デバイス技術によるOrgan/Body-on-a-chipの実現に向けた取り組み2016

    • 著者名/発表者名
      木村啓志,酒井康行,藤井輝夫
    • 雑誌名

      月刊「細胞」

      巻: 48 ページ: 148

  • [雑誌論文] An On-chip Small Intestine-Liver Model for Pharmacokinetic Studies2015

    • 著者名/発表者名
      H. Kimura, T. Ikeda, H. Nakayama, Y. Sakai, T. Fujii
    • 雑誌名

      Journal of Laboratory Automations

      巻: 20 ページ: 265-273

    • DOI

      10.1177/2211068214557812

    • 査読あり
  • [学会発表] 高品質受精卵作製のための媒精用マイクロデバイスの開発2016

    • 著者名/発表者名
      高橋翼, 中村寛子, 木村啓志
    • 学会等名
      東海大学マイクロ・ナノ啓発会[Tμne]第6回学術講演会
    • 発表場所
      東海大学清水校舎
    • 年月日
      2016-02-19 – 2016-02-20
  • [学会発表] 精子選別機能を有する受精卵作製マイクロデバイスの開発2015

    • 著者名/発表者名
      高橋翼,中村寛子,木村啓志
    • 学会等名
      第16回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場
    • 年月日
      2015-12-16 – 2015-12-19
  • [学会発表] Microfluidic Environmental Control Technologies for Organ-on-a-chip2015

    • 著者名/発表者名
      H. Kimura
    • 学会等名
      Lab-on-a-Chip Asia
    • 発表場所
      Singapore
    • 年月日
      2015-11-19 – 2015-11-20
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] マイクロデバイスを用いた精子選別および媒精機能の検討2015

    • 著者名/発表者名
      高橋翼, 中村寛子, 木村啓志
    • 学会等名
      東海大学マイクロ・ナノ啓発会[Tμne]第5回学術講演会
    • 発表場所
      東海大学伊勢原校舎
    • 年月日
      2015-08-25
  • [学会発表] Microfluidic Spatial Control Technologies for Organ/Body-on-a-chip2015

    • 著者名/発表者名
      H. Kimura
    • 学会等名
      Organ-on-a-chip World Congress
    • 発表場所
      Boston, MA, USA
    • 年月日
      2015-07-08 – 2015-07-09
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考] 東海大学工学部機械工学科 木村啓志研究室

    • URL

      http://www.kimura-lab.info/

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公開日: 2017-01-06  

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