MEMS加工の基本加工技術であるシリコン異方性ウエットエッチング加工のグリーンプロセス化を目指し,最終年度(平成28年度)も引き続き極低濃度KOH,TMAH水溶液でのエッチング加工を主体として研究を進めた. これまで把握したエッチング加工特性を系統的に整理して,界面活性剤の影響も含めて加工データをまとめ,低濃度のエッチング液の方が界面活性剤の影響が大きいことを示すことができた.また、低濃度のエッチング液で発生するマイクロピラミッドを抑制する方法として、エアーバブルをエッチング表面に当てながらエッチング加工を行うことが有効であることを,エッチング面の詳細観察等で検証できた。上記のエッチング特性を効率よく把握できるシリコンのリアルタイム厚計測システムもデータが収集できるように立ち上がり、更なる加工特性の把握,現象解析に取り組んでいる.課題としては,低濃度のエッチングでのエッチング速度の安定化・速度の更なる向上が挙げられる. 加えて,エッチング液の液量を最低限化する取り組みとして,微細な加工部分のみに液を供給してエッチングする方法,およびエッチングマスク膜のパターン形成をフォトリソグラフィーを利用せずに,短時間で低コストで行う手法の検討に着手し,エッチング加工プロセスをトータルでグリーン化する検討を推進している.最終年度では,これまでの成果を,国際会議1件,英語論文1報にまとめて報告した.
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